VPF終了後に映画館運営を最適化するには【TMSの選択による運営効率化】

VPF(バーチャルプリントフィー)によって、国内の映画館におけるデジタル化が急速に進み、DCPでの上映が定常化してから約10年が経過しました。VPFの契約も終了を迎える中で、今後どのように映画館を運営していくことが望ましいのでしょうか?

この記事では、VPFサービス終了後の映画館運営について、「TMS」という観点も交えて、世界の映画館の動向とともにご説明します。

海外の映画館では、VPF終了とともに運営を再検討

アメリカのVPFサービスは、2019年に終了を迎え、各興行は運営を再検討する段階に入りました。

それは、デジタルシネマプロジェクター、上映サーバー、TMSの買い替えを考えるタイミングでもあります。

主な検討すべき項目として、以下のようなものが挙げられます。

  1. 既存機器の経年劣化による、新しい機器への入れ替え
  2. プロジェクター光源を"ランプ"から"レーザー"に入れ替えるかどうか
  3. IMAXシアターやドルビーシネマなど、特殊なスクリーンの導入
  4. 上映設備とその他システム(POSなど)との連携
  5. 映画館内のネットワークなどの見直し

これらに留まらず、音響設備などを含め、様々な見直しが必要になります。

そしてアメリカでは、各地に散らばるシネコンを本部で一括管理できるシステムが求められていました。

これまで各映画館でおこなっていた作業を自動化し、導入されている機器やシステムを問わずに一元管理できること。また、上映システム以外にも、POSなど他の機器とも連動させることで、映画館の作業効率を上げることが第一とされました。

そこで見直されたのが、「TMS」(シアターマネジメントシステム)です。

VPFの終わりと、自社に適するTMSの選択

TMSには、複数のメーカーが存在します。

VPFサービスで導入されたTMSを、そのままご利用される映画館も多いかと思います。デジタル化が急務とされた初期導入時には、VPF契約に基づく上映機材の選定が最優先であり、選定されたメーカーの機材に合わせたTMSが導入されるケースが多くありました。そのため、TMSの選択にまで検討が至らないことが、ほとんどでした。

VPFの中で運用する限りは、TMSとの互換性についてあまり深く考える必要はありませんでした。しかしVPF終了後は、機材の購入・交換・保守に至るまでの責任は、すべて映画館が引き受けることになります。

ただそれは同時に、映画館がVPFに縛られないことも意味します。すなわち、自社にマッチする上映機器を、メーカー問わず自由に選択できるようになるということです。

さまざまな機器メーカーの機材を一貫して運用・管理できるTMSを選択することで、上映機材を買い替える際の選択肢が広がり、資金運用の優位性にも繋がる可能性があります。機器メーカーやすべてのハードウェアを、一貫して管理・実行できるTMSが求められるのです。

日々アップデートされるシステムと、TMSによる一元管理

当社では、ArtsAllianceMedia社(以下、AAM)のTMS「ScreenWriter」を取り扱っています。

AAM ScreenWriterは、世界の約45,000スクリーンで利用・運用されており、映画館の運営方法のノウハウも豊富で、各メーカーとの互換性や効率的な運用を実現するためのアップデートが常に実施されています。新しい機能の追加なども、多くの映画館への豊富な導入実績があるからこそ、映画館が次に望む機能の開発をいち早くおこなえます。

大きな特徴としては、上映機器メーカーを問わず、一元管理できるということが挙げられます。

映画館が導入したい上映機器を選定したときに、運用がスクリーンによらず一元管理できることや、これまでと変わらない運用を維持できることが、重要なポイントになります。特別なシアターであるIMAXシアターやドルビーシネマも、AAMのTMSでは一元管理できます。

またAAMでは「Producer」という複数映画館の一元管理を実現するソフトウェアを提供しています。AAM Producerでは、KDMの管理や共通プレイリストの作成・共有・自動作成など、クラウドを介して各映画館のTMSと連動することで、作業のさらなる効率化を促進します。

「ScreenWriter」と「Producer」を組み合わせて導入することで、効率化を進めて現場作業の省力化に寄与できることが、数多くの映画館より支持される理由となっています。複数の映画館を運用している興行会社の、新たな一歩をサポートしています。

TMSで上映管理ができるようになったことで、現場の利便性は格段に高まりましたが、世界ではさらなる効率化を進めることによって資金や人的リソースを別の投資(映画館での収入をアップさせるための投資)に回す動きが出ており、映画館の一元管理は欠かせない要素になっています。

さいごに:TMSは映画館のデジタル運用における根幹

プロジェクターや上映サーバーなどといった上映機材の入れ替えには、相応の資金がかかります。そして機材の選定には、今後の運用や世界的な動向に対する長期的な観点、検討すべき事項も多く、即決することが難しいのが現状です。

その一方で、上映素材やシステムは日々アップデートされており、安定的に上映を運用するためには、随時に対応していく必要があります。

今後、TMSがさらに大きなエコシステムと接続されることで、コスト削減などの効率化を実現し、新しい収益源を開拓するなど、既存の資産に付加価値を与える可能性もあります。

TMSが、あらゆるプロセスの自動化されたソフトウェアと組み合わされば、いずれ以下のようなメリットとともに、映画館の収益性向上につながっていくでしょう。

  • 完全自動化した一括運用
  • コンテンツ管理の簡素化
  • 動的なスケジューリング
  • 動的なチケットの価格設定

それらを統括するTMSは、映画館のデジタル運用において根幹となるシステムです。

今後の映画館運営に向けた上映機材の入れ替えに備えて、まずはお使いのTMSを見直してみるところから始めてみてもいいのではないでしょうか?

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上映素材を映画館までインターネット経由で配送するDCP配信サービスや、上映・興行管理システム(TMS:シアターマネジメントシステム)については、日本国内の50館以上へ導入され、映画館のデジタル運用を日々サポートしています。

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