Li-Fiとは?Wi-Fiとの違いは?〜光波による無線通信がIEEE802.11bb規格として承認〜

情報通信の技術は急速に進化しており、私たちの生活に大きな影響を与えています。その中でも、Wi-FiやBluetoothなどによる無線通信が当たり前のように使われていますが、最近では新たなる光通信技術「Li-Fi」が注目を集めています。

この記事では、Li-Fiについてご紹介するとともに、そのメリットや実用化などについて解説します。

Li-Fiとは何? 〜Wi-Fiとの違い〜

Li-Fiは「Light Fidelity」を略した用語で「ライファイ」と読み、光波によって高速データ通信を実現する技術を指します。

通常のWi-Fiが無線電波を使ってデータ通信をおこなうのに対して、Li-Fiでは可視光通信(VLC:Visible Light Communication)などを活用して通信をおこないます。LEDライトなどによる目にも見える光を、知覚できないほど素早くON/OFFを切り替え点滅させながら、情報伝達のために使用するのです。いわば、現代のモールス信号のようなものです。

  • Li-Fi: 可視光および不可視光(赤外線、紫外線)を使用
  • Wi-Fi: 無線電波を使用

Li-Fiはハラルド・ハース氏が最初に提案した技術で、同氏が共同設立者でもあるpureLiFi社などが、開発や標準化に向けた活動をおこなってきました。

Li-Fiにおける通信の仕組みイメージ(pureLiFi社公式サイトより)
Li-Fiにおける通信の仕組みイメージ(pureLiFi社公式サイトより)

Li-Fiのメリット

Li-Fiは、これまでと異なるアプローチを採用する革新的な通信技術として期待されていますが、以下のようなメリットが挙げられます。

1. 高速かつ低遅延

Li-Fiは光速を活かして通信することから、速度(スループット)と遅延(レイテンシー)のどちらにおいても向上が図れるとされています。

特に速度面では、テストラボでは224GB/sを達成するなど、理想的な環境においてはWi-Fiを大きく引き離す高速性能を有します。pureLiFi社によって製品化されているものでも、すでに250Mbpsまたはギガビット対応とされており、今後さらなる高速化が見込まれています。

2. 電波干渉の低減

Li-Fiが伝送の媒体とする光波には、干渉を起こしづらいという特徴があります。

そのため、電波帯域が混雑するような高密度な場所においても、周囲の通信機器との干渉が少なく、より安定した通信が実現できます。例えば、公共の場はもちろん、工場や倉庫などにおけるオートメーションでもメリットを発揮します。

そして、電磁波による影響を出さないことから、医療施設のようにミッションクリティカルな機器を使用する場所などでも、活躍が期待されています。

3. セキュリティーの向上

光は物理的に制御しやすいことから、Li-Fiはセキュリティーの向上にも寄与します。

電波は、通常の壁を容易に通り抜けられますが、光波では通信範囲が限定されるため、外部からの盗聴・不正アクセスのリスクを低減できます。これにより、機密性の高いデータの安全な通信を実現できます。

4. 水中でも通信できる

可視光は、電波と比べて水中でも減衰しづらい(より遠くへ伝送できる)ことから、水中との通信における可能性を広げます。

特に海中における活用が期待されており、例えば生物の生育確認や水質調査、災害時に海底へ沈んだ流木・がれきの調査などができるようになると言われています。

Li-Fiのデメリット

多くのメリットを持つLi-Fiですが、以下に挙げるようなデメリットもあります。

ただし、内容の一部はメリットの裏返しとなっている側面も大きく、利用する用途・場面によっては必ずしもデメリットとは言えないでしょう。

1. 障害物の影響を受けやすい

Li-Fiでは光波を使用することから、障害物や壁の影響を受けやすいです。

Wi-Fiなどで使用する電波では、障害物があっても回り込む性質がありますが、Li-Fiの光波は直進するだけで回り込めません。そのため、通信する機器間に壁や障害物が入ると、通信の途切れが生じたり、安定性が損なわれたりします。

具体的には、デバイスのアンテナ(受光部)が利用者自身の影に入ったり、部屋を移動したりすることで、安定して通信し続けることが難しくなります。

2. 屋外利用では制約を受けやすい

Li-Fiは屋内環境での利用に適しているものの、屋外環境(特に日中・荒天時)での利用は不得意です。

太陽光や気象条件による影響を受けやすく、通信速度が低下したり、安定性が損なわれたりすることがあります。

3. 通信距離に制約がある

光波には、電波と比べて遠くへ飛ばしづらいという欠点があります。

ただし、遠距離への伝達が可能なレーザーを光源として用いる技術開発や製品化も進んでいることから、いずれデメリットではなくなる可能性もあります。

4. 互換性が低く、コストが高額となりやすい

新しい技術に共通して言えることですが、互換性やコストの面はどうしてもネックとなります。

既存機器やWi-Fi規格などとの互換性は限定的であり、Li-Fiを導入するためには、対応機器や設備を1から揃える必要があります。加えて、まだ広く普及する段階ではないことから、機器・設備自体もまだまだ高額です。

ただし、このデメリットはかつてWi-Fiが辿ったものと同様です。今後の技術発展や市場への普及によって、徐々に解消されていく可能性があります。

Li-Fiの実用化・普及はいつ?

まだLi-Fiは広く利用される状況とはなっておらず、同じく無線通信をおこなえるWi-Fiと比べると、普及度も認知度も高いとは言えません。先行するWi-Fiが、互換性やコストの面での優位性を保つ限り、これを置き換えるような存在には当面なれないでしょう。

しかしLi-Fiに多くのメリットがあることは、広く認知されつつあり、様々なメーカーから対応製品や部品などが続々と発表・発売されています。この流れに合わせ、様々な場面への導入が検討されたり、実証実験もおこなわれてきました。このような状況から、実用化に向けた下地は整っていると言えます。

そして2023年7月に、正式に「IEEE802.11bb」として標準規格化され、普及に向けての大きな一歩となりました。

この動きを受けて、まずはWi-Fiの苦手とする(=Li-Fiのメリットが発揮されやすい)領域から、徐々に利活用が広がっていくものと考えられます。

まとめ

Li-Fiは、電波に代わって光波を用いる、新しいアプローチの無線通信技術です。

これまでWi-Fiなどの電波通信が苦手としていた領域に、いくつもの強いメリットを有するLi-Fiは、これらの領域における活用が期待されています。そして、標準規格化の流れに乗って普及が加速する可能性もあり、今後の動向に目が離せません。

ご不明点や気になる点などありましたら、どんなに些細なことでも問題ありませんので、お問合せフォームよりご相談いただけましたら幸いです。

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