病院・クリニックにWi-Fi環境はなぜ必要?【導入・構築のメリットや注意点も】

スマートフォン利用が全世代に浸透し、いつでもどこでもインターネット利用するのが当たり前となった中、病院やクリニックなどの医療施設にとっても、快適なWi-Fi環境の整備はもはや必須となっています。

この記事では、宿泊施設へのWi-Fi導入や改善についてご検討される方へ、Wi-Fi導入が必要となる理由に加え、メリットや対応方法などについて説明していきます。

入院中にWi-Fiを利用するイメージ

病院・クリニックのWi-Fi環境とは 〜おさらい〜

病院・クリニックのWi-Fi環境とは、その名のとおり、病院やクリニックなどといった医療施設に設置・整備されたWi-Fi環境のことを指します。

このような施設で設置されるWi-Fi環境は、その目的に応じて大きく2種類あります。

その1:患者や来訪者向けに開放されたWi-Fi

一般的に認識されているのは、患者や来訪者向けとして用意されたWi-Fi環境で、いわゆる「フリーWi-Fi」「公衆無線LAN」のように呼ばれているものと同義だと捉えて差し支えありません。

利用方法・接続先ネットワーク名(SSID)を待合室・ロビーなどへ掲示し、待機中・入院中などに自由に使ってもらうケースがほとんどです。

その2:業務用のクローズドなWi-Fi

そしてもう一つ、業務用のWi-Fi環境も忘れてはなりません。

従業員向けの端末や、施設内の無線化された機器類から利用するための環境で、ゲスト向けとは分離して整備するのが一般的です。

病院・クリニックにとってWi-Fi環境の導入・構築が必要となる理由 〜もたらされるメリット〜

では、なぜWi-Fi環境の導入が必要となるのでしょうか。その理由について、主要なものについて説明していきます。

理由1:無料Wi-Fiは、各種施設で必須となりつつある

スマートフォンが広く普及する昨今、多くの人は「いつでも」「どこでも」インターネットへ接続し、様々なアプリやサービスなどを利用しています。

もちろん、スマートフォン単体でも4G/5Gのセルラー回線を通じて、これらのサービスは利用できます。しかし、サービス利用に必要なデータ通信量が増加の一途を辿る背景などから、データ通信容量の消費によって「ギガが減る」ことを避ける人は、各種施設に設置されたフリーWi-Fiを利用しようとします。

様々な商業施設・公共施設などへ無料Wi-Fiが設置されるにつれて、このような行動はもはや常識的となっており、無料Wi-Fiはもはやセールスポイントの一つともなっています。それどころか、無料Wi-Fiが設置されていなかったり、設置されていても品質が悪かったりすると、それだけでGoogleなどの口コミに悪評を書かれてしまいます。

理由2:院内業務用Wi-Fiによる業務効率の向上

各業界で「働き方改革」や「生産性向上」が声高に叫ばれていますが、医療業界も同じような状況下に置かれています。カルテが当たり前のように電子化され、患者のサポートなどにタブレット端末が使われるようになった昨今、業務用Wi-Fiの整備は当然ながら必須です。

そして、ミッションクリティカルな通信がおこなわれることも珍しくないことから、安定性・セキュリティーなどの品質確保も重要な課題となります。そのため、患者・来訪者向け(無料Wi-Fi)とは独立したWi-Fiとして設計・構築する必要があります。

医療関係の業務でWi-Fiを利用するイメージ

理由3:院内業務用Wi-Fiへの電波干渉の防止

意外に感じられるかもしれませんが、院内ネットワークの安定性確保のためにも、無料Wi-Fiの導入は重要です。

そもそも(一般家庭はともかくとして)Wi-Fiを導入するためには、対象施設内の様々な状況を考慮しながら、エリアやバンド(電波帯域)などを厳密に計算・設計する必要があります。すでに業務用Wi-Fiが導入されている場合には、適切な計算・設計がなされていることでしょう。

患者や来訪者に向けて無料Wi-Fiが開放されていないと、モバイルルーターなどの機器を持ち込んで、即席のWi-Fi環境を勝手に用意してしまう人が出てきます。当然ながらそのような即席Wi-Fi環境は、他の既設Wi-Fiへの影響について考慮されていないので、電波干渉による品質低下などをもたらします。

そのため、患者・来訪者向けに無料Wi-Fiを導入することによって、即席Wi-Fi環境を作らせる動機を無くしてしまうことが、院内の業務用Wi-Fiの安定性確保・向上にも繋がるのです。

病院・クリニックへWi-Fi環境を導入・構築する際に確認すべき注意点

ここまで、病院やクリニックなどの医療施設にとってWi-Fiが必要となる背景やメリットについてご説明しましたが、だからといってもWi-Fiルーターを設置すればいいという単純なものでもありません。注意すべきポイントについて、代表的なものをご紹介します。

注意点1:Wi-Fiを必要とするエリアのどこでもつながるか、適切に構築できているか

特に業務用途の場合には、業務をおこなう可能性のあるエリア内のどこからでもWi-Fiを使えるようにする必要があります。使える場所が限られたり、接続できても安定しなかったりするようなケースでは、業務に支障をきたします。患者・来訪者向けについても、病室や待機室・ロビーなどで使えないと、意味がありません。

「どこでもつながる」「まともに使える」の実現には、適切な構築が肝心です。想定される利用人数や施設規模・環境などに応じて、プロ向け(業務用)の適切な機器を、適切に設置する必要があります。

なお、小規模なクリニック・医院などでは、家電量販店の店頭に並んでいるようなコンシューマー向け(家庭用)のWi-Fiルーターを数台そのまま設置するようなケースが散見されますが、これは誤った構築方法です。コンシューマー向けは主に、一般家庭において単独使用することを想定して設計されており、利用者が不特定多数となる環境へ複数台導入すると、様々な面で問題を起こします。

注意点2:セキュリティーは考慮できているか

病院やクリニックなどのWi-Fiは、不特定多数の患者・来訪者が使用したり業務用途で使用したりすることを踏まえると、セキュリティー面での考慮も重要となります。

例えばWi-Fiには、経由する通信を暗号化する仕組みとして「セキュリティープロトコル」が採用されていますが、これの古いバージョンや暗号化なし(パスワードなし)にしか対応しない場合には、利用者を危険に晒すことになってしまいます。

また、患者・来訪者向けと業務向けのWi-Fiについて、ネットワーク的に分離するよう設計されていることも必須です。患者データなどのクリティカルな情報を扱う特性からも、Wi-Fi経由で不正アクセスできてしまう経路を作ってはなりません。

注意点3:既存環境への影響・干渉は考慮できているか

すでに業務用途のWi-Fiが設置されている環境へ、新たに患者・来訪者向けのWi-Fiを設置するには、これへ悪影響を及ぼさないように、厳密な調査や設計、設置が求められます。

Wi-Fi向けとして使用できる電波の周波数帯は限られており、利用状況などを踏まえながら、それぞれの用途別へ適切に割り当てる必要があるのです。

注意点4:Wi-Fi導入後の運用・メンテナンスはできているか

病院やクリニックなどのWi-Fiは、導入・構築するだけで終わりではありません。その後も適切に運用・メンテナンスされている必要があります。

Wi-Fi機器も家電製品などと同様に寿命があり、突然壊れることがあります。そのようなときに復旧できる体制がないと、業務への悪影響も避けられないですし、患者・来訪者へも不便を強いることとなります。

そして、Wi-Fiを含むネットワーク機器類IT機器は技術進歩が著しく、世代交代やバージョンアップによる陳腐化も起こりやすいです。特に2013年より前に設置されたままのWi-Fi機器は、現在主流である「Wi-Fi 6」と比べて少なくとも2世代前のものなので、速度面や特にセキュリティー面から推奨されず、早期に置き換えるべきです。

加えて、ハード面だけでなくサポート面も重要です。デジタルネイティブである若い世代であれば、SSIDとパスワードさえ掲示しておけば、無料Wi-Fiをすんなり使ってもらえるでしょう。しかし、シニア層をはじめITに不慣れな世代は、利用にあたって助けを必要とするケースが珍しくありません。そのようなときに、Wi-Fiサポート窓口があれば、医療施設としての本来業務を圧迫せずに済みます。

注意点5:Wi-Fiを無料開放しているか

いまだに患者・来訪者向けWi-Fiを無料開放せずに有料オプションとしている場合、すぐに見直すべきです。

Wi-Fiの黎明期には有料オプションとして提供するケースも多々ありましたが、今では滅多にありません。飛行機の機内Wi-Fiのような技術的制約から多大なコストがかかってしまう場面でも、無料で開放するケースが出てきているくらいです。

時代の潮流に逆行する有料化は、オプション費用による収益化というメリットをもたらさないだけでなく、かえって「ケチくさい」という印象を与えるデメリットだけになってしまいます。患者・来訪者向けWi-Fiは無料開放して、標準装備の充実化に舵を切りましょう。

病院・クリニックに快適なWi-Fi環境を導入・構築するにはどうしたら良いか

この記事を見ていただいているのは、病院・クリニックなどのWi-Fiについて「改善すべき点がないか」を検討されているゆえかと思います。

Wi-Fiは、家電量販店などで多くのコンシューマー向け製品が売られていることから「誰でも簡単に設置できる」ものと誤解されやすいですが、実は極めて専門的なものです。病院やクリニックなどの医療施設は一般家庭と違って、ミッションクリティカルな機器類が多数稼働しており、不特定多数の利用者が入れ替わり利用します。このような施設環境では、専用の計測機器を用いた電波測定をおこない、電波の伝搬状況を判断しながら、Wi-Fi機器の種類や台数、設置場所などを慎重に選定・決定する必要があります。

まずは、Wi-Fiを専門的に取り扱う事業者へ相談してみるのが良いでしょう。電気工事の事業者でも、数あるオプションの一つとしてWi-Fi工事への対応を謳うケースがありますが、専門的知識やノウハウを持ち合わせていないことも珍しくありません。

相談先がわからない場合や、設置した事業者が相談に乗ってくれないような場合には、当社のWi-Fi専門チームでも無料でご相談を承っています。現在の状況などをヒアリングさせていただき、ご要望によって「Wi-Fiの品質に問題ないか現状把握したい」「このエリアだけ改善したい」のようなニーズへも柔軟にお応えできます。

病院・クリニック向けのWi-Fi導入に関する事例のご紹介

当社でご対応させていただいたWi-Fi工事のうち、内容公開をご承諾いただいている導入事例について、ご紹介します。

詳細につきましては、リンクしております紹介記事よりご確認ください。

金子レディースクリニック様 (東京都 婦人科・産婦人科)

別の電気工事事業者によって導入されていた既存Wi-Fi環境に不満があり、当社へご相談・ご依頼いただきました。

依頼主様では来院者が安全・安心・快適に過ごせる環境づくりを強く意識されており、ご要件や課題などをヒアリングの上で、機器の大半をリプレイスする形でWi-Fi環境の改善をおこないました。

さいごに

他の様々な施設と同様に、病院やクリニックなどの医療施設にとってもWi-Fi環境は、当たり前かつ必須のものとなっています。

ご不明点や気になる点などありましたら、どんなに些細なことでも問題ありませんので、お問合せフォームよりご相談いただけましたら幸いです。

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ブロードメディアでは、ホテルや病院、キャンプ場、大型施設などへ、快適なネットワーク・Wi-Fi環境の設計・構築・保守サービスを提供しています。

当社では20年以上にわたってWi-Fiサービスを提供しており、10万室以上のホテル客室への導入実績を有しています。
Wi-Fiのプロとして、その構築や運用を強力にサポートしています。

Wi-Fi環境の導入のご検討や、お困りのことがありましたら、ぜひご相談・お問い合わせください。

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