日揮グローバル株式会社 様
1928年の創業から90年以上にわたって、日本のエネルギー産業を支えてきた日揮グループ。2019年10月には、日揮ホールディングス、日揮グローバル、日揮の3社からなる持株会社体制に移行。日揮グローバル株式会社(以下、日揮グローバル)では、海外におけるオイル&ガス、インフラ分野の各種プラント・施設のEPC(設計・調達・建設)事業を手掛けている。
お話を伺った方
- プロジェクトマネジメント本部 ITマネジメント部安藤 隆史 氏
導入前の課題
ネットワーク品質による業務支障
Teams会議でのノイズ発生
データダウンロードやメール送受信に時間を要する
選定ポイント
納期が早い
構成がシンプルで、柔軟かつ拡張性に優れる
Microsoft 365との接続実績が豊富
導入後の効果
業務システムへのアクセスの高速化
Teams会議の安定化とノイズ解消
データダウンロードの時間短縮
トラブル低減による、IT担当のリソース最適化
導入前の状況と課題
グループ内でも海外事業を手掛ける日揮グローバルでは、海外におけるEPCプロジェクトを円滑に遂行するためのITシステムが不可欠です。同社では、日本国内にオンプレミスで構築される業務系システムやMicrosoft 365(Office 365)などのクラウドサービスを、国内外から利用できる仕組みを整えています。
現在、大型LNGプラントの建設プロジェクトを進める同社では、大規模プラントを数千トンのブロック単位(モジュール)に分割して製作・運搬・据付するモジュール工法を採用し、中国国内で製作を進めています。中国のモジュール製作の2拠点から日本国内の業務系システムへはWAN経由で、Microsoft 365などのクラウドサービスへはインターネット経由で、それぞれアクセスしています。
しかし、過去のプロジェクト経験や最新のIT知見から、特に中国国内から国外のシステムへのアクセスでは問題を生じる可能性が高く、安定したネットワーク環境が必要になることが予見されました。実際に現地に出張しインターネット経由でのアプリケーション利用試験を実施したところ、品質や安定性に問題があったことから、そのまま実業務に使用することは困難との判断に至りました。
EPCプロジェクトでは、設計・調達・建設の各フェーズにおいて各業務をスケジュールどおりに進めることによって、プロジェクト全体が円滑に進み、完工に至ります。その中でもモジュール制作では、日本側の設計チームと中国側のモジュール制作チームが密に連携の上、情報を双方向でフィードバックしあいながらスケジュールどおりに作業を完了し、製作したモジュールを最終目的地へ出荷させることがゴールとなります。そのため、必要情報(図面、CADデータ、仕様書・指示書など)の提供やコミュニケーションをタイムリーにおこなえることが重要で、これらを支える通信品質やキャパシティーが、ITインフラに求められます。
「EPCプロジェクト業務を支えるITインフラでは、ネットワークのスピード、安定性を重要視します。さらにモジュール製作拠点は今後数年間は運営継続するので、その間にユーザ数や利用システムの増減も予想されます。
またIT技術や業務要求の変化からくる、将来の拡張や変更に対する備えが必要でした。」
(安藤氏)
中国拠点での業務開始から数ヶ月ほどは、インターネットとVPNのみで遂行していましたが、システム利用者からは徐々に改善要望が寄せられました。Teams会議においてノイズが発生する、図面データのダウンロードや始業時間帯のメール送受信に時間を要するなど、ネットワーク品質に起因する課題が明るみとなりました。
ネットワーク品質による業務支障
Teams会議でのノイズ発生
データダウンロードやメール送受信に時間を要する
Aryakaを採用した理由
これらの課題を解消し、安定したシステム利用を実現するため、行き着いたのがAryaka SmartConnectでした。
まずは社内の他プロジェクトで類似課題や対応策の有無を確認したところ、通信安定化を目的にAryakaサービスの導入を検討しているという情報があり、このプロジェクトにおいても検討することとしました。
AryakaサービスはPoP(Point of Presence)へ接続し利用する仕組みなので、わずかな工数・期間で導入できることはもちろん、中国国内にもPoPが設置されていることから、今回のニーズに合致しているとわかりました。加えて、異なるリージョンのMicrosoft 365への接続性改善に関する実績が豊富であることも、採用判断を後押ししました。
EPCプロジェクト遂行に用いるネットワークは、遂行拠点をつなぐ数年間においてのみ必要であり、使用する人員も数名からピーク時には数百名にまで変動します。これらの事情から、恒久設備とは異なるアプローチが必要で、構築・拡張・撤収が容易であることが求められます。Aryaka SmartConnectであれば、この要求も満たせることがわかりました。
「ネットワーク構成がシンプルで、将来の拡張や変更に柔軟に対応できる点を、高く評価しました。通信のボトルネックになる部分をバイパスすることも可能で、ニーズに合っていました。
また、今まで社内で未使用の技術や構成を使ってみたい、という個人的な希望も叶えることができました。」
(安藤氏)
納期が早い
構成がシンプルで、柔軟かつ拡張性に優れる
Microsoft 365との接続実績が豊富
Aryaka導入による効果
シンプルなネットワーク構成ながら、Aryakaのグローバルなプライベートネットワークを経由して通信するため、通信の安定性が向上し、よりスムーズなプロジェクト遂行に貢献しています。
ノイズ発生の問題を抱えていたTeams会議は、安定化されてノイズが低減しました。そして、データのダウンロードやメール送受信にかかる時間も短縮され、業務システムへのアクセスは高速化されました。また、ネットワーク品質に起因するトラブルが減ったことによって、現地で勤務しているIT担当者が、ユーザーサポートや業務改善に専念できるようになりました。
加えて、当初想定していなかったパブリッククラウド上のアプリケーションを追加したいという急な要望が生じた際にも、スムーズに拡張できました。
「WAN経由の自社システムへのアクセスに加え、パブリッククラウド上のアプリケーションも、円滑に使用できています。
最近の建設現場では、紙からデジタルへの移行を進めています。今までは、印刷した図面を現場に持ち出したり、事務所でラップトップからファイルサーバーにアクセスしていました。現在は、建設現場でタブレットからクラウドにアクセスして『その場で図面を見ながら業務をおこなう』という方法に変化してきています。こういった建設現場の業務変革を支援できることについて、現地ITチームからも『最新技術を使って貢献できることが楽しい』という声が上がっています。」
(安藤氏)
業務システムへのアクセスの高速化
Teams会議の安定化とノイズ解消
データダウンロードの時間短縮
トラブル低減による、IT担当のリソース最適化
今後の活用
Aryakaサービス利用の今後について、安藤氏は次のように語ります。
「中国拠点では、当初の想定よりも多くの人員がネットワークを利用しています。これを受けて、Aryakaサービスについても利用当初よりも契約帯域を増やして対応しています。
より費用対効果の高い使い方について、ブロードメディアとも相談しながら、ネットワーク運用を続けたいと考えています。」
(安藤氏)
また、ノウハウの展開についても、同氏は次のように語っています。
「現状では、当該プロジェクトの中国拠点にのみに絞ってAryakaサービスを使っています。今回の導入や運用でえたノウハウをまとめ、他のプロジェクトの参考となるよう社内にも還元していきたいと考えています。」
(安藤氏)
会社概要
- 会社名
- 日揮グローバル株式会社
- 本社所在地
- 神奈川県横浜市
- 設立
- 2019年4月 (グループ創立1928年10月)
- 資本金
- 1,000百万円
- 従業員
- 7,607名 (2020年3月、グループ全体)
- 業種
- 海外における各種プラント・施設のEPC事業など
※記載されている製品名、サービス名、社名、およびロゴマークは、各社の商標または登録商標です。※記載内容は、予告なく変更されることがあります。※記載内容は、取材時点の内容にもとづきます。