スマートシティにおけるデジタルツインの活用

前回の記事「デジタルツイン(Digital twin)とは?~薄れる現実と仮想空間の境界線~」では、現実世界を仮想空間へ双子のように再現する「デジタルツイン」についてご紹介しました。

この記事では、デジタルツインの活用事例としても注目される「スマートシティ」についてご紹介します。

ヒーロー画像(スマートシティにおけるデジタルツインの活用)

スマートシティとは

都市化がさらに進む中、近年では「スマートシティ」という新たなコンセプトが、注目を集めています。

スマートシティとは、ICT(情報通信技術)を駆使して、都市全体の効率化や利便性の向上、エネルギー消費量の削減、環境保全など、多くの社会的課題を解決することを目的とした都市のことを指します。その中でも、デジタルツイン技術がスマートシティを実現する上で欠かせない存在となっています。

デジタルツイン技術によって、現実世界の状況をリアルタイムに再現でき、都市のインフラや公共交通機関、建物の状態などを可視化し、より効率的な都市運営が可能となります。

スマートシティにおける、デジタルツイン技術の活用例

スマートシティは、デジタルツイン技術を活用し、現実世界の状況をリアルタイムに再現することにより、後述するような都市計画やインフラ運営などあらゆる場面での課題解決が期待されています。

公共交通機関の運営

公共交通機関の運営においても、効率化が図れます。例えば、バスや電車の運行状況をリアルタイムに把握してデジタルツイン上に表示することで、乗客はより正確かつ迅速に、状況を確認できるようになります。

建築物や道路などのメンテナンス

建物や道路などといったインフラ設備の状態を、リアルタイムに把握できるようになります。センサーなどを用いて、構造物の傾きや亀裂、腐食などの異常を検出して、デジタルツイン上に反映することで、メンテナンスのタイミングを的確に把握できるようになります。

災害時の避難行動の最適化

センサーなどから得られる情報をリアルタイムにデジタルツイン上へ反映することで、被災地の状況を正確に把握し、避難ルートや避難所の配置などを最適化できるようになります。

エネルギー管理の効率化

建物や街路灯、公共施設などの消費電力をリアルタイムで監視し、デジタルツイン上に表示することで、エネルギーの無駄を減らせます。また、再生可能エネルギーの発電状況なども、デジタルツイン上で管理できるようになります。

交通事故の削減

センサーやカメラなどから得られる情報をリアルタイムでデジタルツイン上に反映することで、交通量の多い場所や事故が多い場所を把握しやすくし、交通システムの改善を図れます。また、自動運転車などの技術と組み合わせることで、交通事故の削減による安全性向上が期待されます。

観光客の案内

デジタルツイン上に観光スポットの情報を表示することで、AR技術を活用した案内が可能となります。スマートフォンやタブレット端末などを使用して、観光客が実際のスポットを見ながら、デジタルツイン上に表示される情報を確認できます。例えば、観光スポットの歴史や由来などを表示することで、より深い理解が得られるようになります。

国内外で進むスマートシティの活用事例は?

シンガポールでは、政府主導の「スマート・ネーション・イニシアティブ」によって、デジタル技術を活用した国全体のスマートシティ化が進められています。この中では、全国規模のセンサーネットワーク(SNSP:Smart Nation Sensor Platform)も用いられており、例えば街路灯からの歩行者数などのデータ収集を通じて、より効果的な都市計画・安全な歩道整備へも活かされています。

東京都でも、都民の QoL 向上を目的として、「デジタルツイン実現プロジェクト」が発足しています。リアルタイムに取得したデータを仮想空間で分析・シミュレーションし、現実空間へフィードバックすることで、防災やまちづくり、教育、働き方など様々な分野での活用が期待されます。

当社による、デジタルツイン技術の活用事例

当社ブロードメディアでは株式会社積⽊製作との協業で、千葉県佐倉市「ユーカリが丘」街全体のフルCGをWebブラウザー経由でクラウド配信する、デジタルツイン技術を活かしたサービスを提供しています。

街全体や施設の位置情報などを俯瞰的に捉えることができるため、営業時や接客時の販売ツールとしても活用でき、スマートシティ構想の活性化へも一助しています。

さいごに

このように「スマートシティ」は、デジタルツイン技術を活用しながら国内外で広がりを見せ、今後のさらなる発展にも期待されています。

デジタルツインや3DCGの活用・配信でお困りのことなどございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせ・ご相談ください。

関連コンテンツのご紹介

サービス紹介ページ

ブロードメディアでは、様々な業界向けに、Gクラスタ技術を応用したクラウド型3Dストリーミング配信サービスを提供しています。開発や設備運用にかかるコストを最小限に抑えながら、マルチデバイスへのシームレスな配信を実現します。

3DCGの制作から配信技術などを幅広くサポートしていますので、ご検討や、お困りのことがありましたら、ぜひご相談・お問い合わせください。

お問い合わせ

前へ

Wi-Fi 7とは 〜メリットは?登場はいつ?従来規格との違いを解説〜【国内解禁&2024年に認証開始】

次へ

ゼロトラストとは 〜企業ネットワークを狙う攻撃脅威とこれからのセキュリティー対策〜