ハイブリッドワークに最適なネットワークとは?〜SD-WANだけではダメ?グローバルプライベートネットワークが重要な理由〜

ハイブリッドワークの普及により、社員はオフィスや自宅だけでなく、カフェや出張先からも業務をおこなうようになりました。これに伴い、企業ネットワークには「どこからでも安定した接続と強固なセキュリティーを確保する」ことが求められています。

この記事では、パブリックインターネットに依存することの問題点と、それを解決するグローバルプライベートネットワークの利点、加えて効果的に解決するためのソリューションについて解説します。

ハイブリッドワークにパブリックインターネットを用いることの問題点

パブリックインターネットは、現代のハイブリッドワークを支えるエンタープライズ利用を前提に設計されたものではありません。世界中のISPが相互接続する巨大な「つぎはぎ」ネットワークであり、そのルーティング方針や混雑状況は常に変動します。

そのため、企業がどれだけ高性能な機器を導入しても、この仕組み自体をコントロールすることはできません。ゆえに、ハイブリッドワーク環境においては、以下のような課題が顕在化します。

予測不能なレイテンシー

インターネットのルートはコストや契約関係に基づいて動的に変化します。そのため、ビデオ会議やリアルタイム共同編集、VoIPやVDIといったアプリの通信が不安定になりやすく、音声途切れや画面フリーズの原因になります。

SLAが存在しない

パブリックインターネットには、パケット損失や稼働率、スループットに関する保証がありません。ピーク時やISP障害時には、業務アプリの性能低下や停止が発生する可能性があります。

セキュリティーリスクの増大

複数の中継ネットワークを経由するため、攻撃対象領域が広がります。暗号化だけでは防げない、ルーティング攻撃や経路ハイジャック、MITM攻撃などの脅威が残ります。

グローバルユーザー体験の悪化

海外拠点やリモートユーザーからのアクセスでは、ファイル転送やクラウドアプリのレスポンス低下、タイムアウトが発生しやすく、従業員の生産性低下や不満につながります。

こうした課題は、ハイブリッドワークが前提となる現代の企業にとって、単なる「不便」では済まされません。業務効率やセキュリティー、ユーザー体験に直結する重大な問題です。

グローバルプライベートネットワークによる解決策とメリット

パブリックインターネットの不安定さを解消するために、企業トラフィックを「制御された専用バックボーン」上で送信するのが、グローバルプライベートネットワークの基本的な考え方です。

主要ベンダーは、世界各地に戦略的に配置したPOP(Point of Presence)を相互接続し、高速で安定した通信経路を提供します。

グローバルプライベートネットワークが、ハイブリッドワークにおいて提供する代表的なメリットは、以下の通りです。

予測可能な低遅延

最適化されたバックボーンを通ることで、ホップ数や混雑を最小化します。ビデオ会議やリアルタイムデータ通信も安定し、音声や映像の途切れを抑制できます。

SLAによる性能保証

稼働率やパケット損失、スループットなど、通信性能を明確に保証するSLAが設定されており、重要アプリケーションにおける信頼性を確保できます。

高度なセキュリティー

パブリックな経路を避けることで、攻撃対象を限定します。さらに、暗号化やゼロトラスト制御を組み合わせることで、認証済みユーザーのみが企業リソースへアクセス可能です。

グローバルPOPによる広域カバー

ユーザーは最寄りのPOPに接続し、そこからバックボーンを経由してクラウドやSaaSにアクセスするため、遠隔地からのアクセスでも高速化が期待できます。

一貫したユーザー体験

安定した通信、セキュアなトンネル、最適化されたルーティングにより、どこからでも高い品質でアプリケーションを利用可能です。

SD-WANだけでは十分でない理由と具体例

SD-WANは、アプリケーションのパフォーマンス改善や柔軟な経路選択を可能にする優れた技術です。しかし、パブリックインターネット上に構築しただけでは、基盤自体の不安定さを解消することはできません。

例えるなら、スポーツカーを舗装の悪い道路で走らせるようなものです。車(SD-WAN)は高性能でも、道路(パブリックインターネット)の穴や凸凹を取り除くことはできません。その結果、通信品質は不安定なままです。

一方、グローバルプライベートネットワークをバックボーンとして用いれば、滑らかな高速道路上をスポーツカーが走るイメージとなります。SD-WANの柔軟性と組み合わせることで、最適ルート選択やセキュリティーポリシーの適用が、より効果的になります。

具体例1:国内支社と海外拠点間のファイル転送

パブリックインターネット+SD-WANのみでは、ピーク時間帯に遅延やパケット損失が発生。プライベートバックボーンを併用することで、転送時間が従来比40〜60%短縮。

具体例2:オンライン会議やリアルタイムコラボレーション

SD-WAN単独では海外拠点で音声途切れや画面フリーズが発生していたが、プライベートネットワーク経由で安定性を確保。

具体例3:クラウドERP・SaaS利用

従来は応答遅延で業務効率が低下していたが、プライベートバックボーン併用により、レスポンスタイムが大幅に改善。

ご紹介した具体例の示すように、SD-WANとグローバルプライベートネットワークを組み合わせることで、パフォーマンス、信頼性、セキュリティーの三拍子が揃うことがわかります。

Aryakaによる最適解:Unified SASE as a Service

当社のお取り扱いするAryakaソリューションでは、単なるSD-WANやVPNを提供するのではなく、グローバルプライベートネットワークとSD-WAN、ゼロトラストセキュリティーを統合した「Unified SASE as a Service」 を提供しています。

これにより、企業は複数ベンダーを組み合わせる煩雑さを避けながら、ハイブリッドワークに最適なネットワーク環境を構築できます。

主な特徴とメリット

グローバルプライベートネットワーク内蔵

戦略的に配置された40以上のPOPにより、世界中の拠点やリモートユーザーに対して、低遅延・安定通信を提供し、パブリックインターネットならではの不確実性を排除できます。

保証されたSLA

稼働率99.999%(※L2コア)を含む厳格なSLAを提供。遅延やパケット損失も対象で、業務アプリの安定稼働をサポートします。

エッジからクラウドまでのセキュリティー統合

NGFW-SWG、CASB、IPSなどのセキュリティー機能を組み込み、社内・リモートを問わず、認証済みユーザーのみがアクセス可能なゼロトラスト環境を提供できます。

SaaS・クラウドアクセスの高速化

プライベートバックボーン経由で、SalesforceやOffice 365、AWS、Azureなどの主要クラウドサービスへのアクセスが最適化されるので、読み込み時間や応答速度が向上します。

運用負荷の軽減

完全マネージドサービスとして提供されるため、ネットワーク構築・監視・セキュリティー運用などはお任せいただき、IT部門は戦略的業務に集中できます。

スケーラブルなハイブリッドワーク対応

新しいユーザーや支社、クラウドワークロードの追加も迅速かつ安全に対応可能で、追加設備投資を抑えながら拡張できます。

さいごに

ハイブリッドワークが定着する現代において、パブリックインターネットに頼るだけでは、安定した業務環境やセキュリティーは確保できません。

グローバルプライベートネットワークを活用することで、低遅延・SLA保証・セキュアなアクセス・一貫したユーザー体験を実現できます。さらに、ご紹介したAryakaのUnified SASE as a Serviceは、SD-WAN、ゼロトラストセキュリティー、完全マネージド運用を統合し、ハイブリッドワークに最適なネットワーク環境を提供します。

ご興味をお持ちの方、企業ネットワークの運用・セキュリティー対策で課題をお持ちの方は、お気軽にご相談・お問い合わせください。

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