Shadow AI(シャドーAI)とは? 〜企業を脅かす5つのリスクとUnified SASEによる対策〜
企業における生成AIの活用が加速する中で、管理外でAIツールが利用される「Shadow AI(シャドーAI)」が、新たな脅威として注目を集めています。これは、かつて問題視された「Shadow IT(シャドーIT)」と同様に、承認を受けていないシステムやツールを社員が独自に利用することを指します。
多くの場合は、業務効率化や創造性向上を目的とした善意による行為ですが、その裏で重大なセキュリティー・コンプライアンスリスクが潜んでいます。
この記事では、Shadow AIがもたらす5つの主要な脅威と、それを解決するための当社ソリューション「Aryaka Unified SASE as a Service」の役割をご紹介します。
Shadow AIとは? 〜AI活用の裏に潜む「見えないリスク」
「Shadow IT」が企業の承認なしに使われるクラウドサービスやアプリケーションを指すように、「Shadow AI」もまた、IT部門の監視を受けずに利用されるAIツールや生成AIアプリケーションを意味します。
たとえば、社員が外部の無料AIチャットに社内情報や顧客データを入力するケースでは、本人に悪意がなくても、データが外部のAIモデルで学習や保存に使われてしまう恐れがあります。
生成AIツールの利用が急速に広がる今、企業が把握できないAI利用=Shadow AIが急増しており、ITガバナンスやデータ保護の観点から、見過ごせない課題となっています。
Shadow AIがもたらす5つのセキュリティーリスク
それでは、Shadow AIはどのようなセキュリティー上のリスクをもたらすのでしょうか。ここでは、5つに整理してご説明します。
1. 不適切なデータ取り扱い
AIツールは、大量のデータを必要とします。しかし、社員がIT部門の承認を得ずに外部AIへデータをアップロードすると、機密情報や顧客情報が第三者に利用される可能性が生じます。
たとえば、顧客リストやソースコードを生成AIに入力してしまうと、そのデータがAIベンダーのシステム上に保存・再利用され、後に情報漏洩につながるリスクがあります。
- データの持ち出し、漏洩
- 保護対象データの誤共有
- 監査不能、追跡困難
といった問題が起こりうるのです。
2. 法規制やコンプライアンスへの違反
GDPRやCCPAなどの個人情報保護法は、データの取り扱い経路を厳格に定めています。しかしShadow AIの存在によって、管理者が把握できないデータの流れが発生すると、意図せずとも法令や契約義務に違反するリスクがあります。
特に、どのAIツールがどのデータをどこへ送信しているのか不明な場合、企業は以下のような結果を招く恐れがあります。
- 罰金や法的制裁
- 契約違反による信用失墜
- 企業ブランドの毀損
可視化ができないままAIを利用することは、「気づかないうちのコンプライアンス違反」を生む危険行為です。
3. AIアプリケーションの可視性欠如
Shadow AIの厄介な点は、存在自体が見えないことにあります。社員がブラウザー経由で外部AIを使っても、IT部門ではその利用を検知できないことが多いのです。
この結果、次のような課題が発生します。
- 誰が、どの部署で、どんなAIを使っているのか不明
- どのデータがAIに渡されているか分からない
- ポリシーを統一して適用できない
この「見えない利用」は、セキュリティー監査やリスク評価を不可能にし、組織全体のAI利用ポリシー統制を崩壊させる要因になります。
4. 機密情報の漏洩リスク
生成AIは入力内容を学習・保存し、後に類似した回答を生成する場合があります。つまり、ある社員が入力した情報が、他のユーザーの回答に混ざって出てくる可能性があるのです。
たとえば、社内の財務データや新製品の設計情報を入力した場合、AIサービス提供元の不十分な管理体制により、意図せず第三者へ漏洩するケースも考えられます。
Shadow AIを通じて社外AIモデルに機密情報を渡すことは、「無意識の情報共有」となり、企業にとっての深刻な脅威なのです。
5. プロンプトからの情報流出
生成AIに入力する『プロンプト』そのものが、内部情報を含む場合があります。
たとえば、「お客様のクレーム対応文を生成」「システムの不具合を説明」などのような日常業務の中で入力される文脈の中に、顧客名・コード・機密データが紛れ込むことも少なくありません。
これらのプロンプトがAIサービス内で履歴として保存されると、社外からも参照可能な状態になる恐れがあります。プロンプトからの漏洩は検知が難しく、発覚したときには既に手遅れ、という事態も起こりえます。
Shadow AIのリスクを低減する方法とは 〜Aryaka Unified SASEによる解決策〜
AIツールの利用を全面的に禁止することは、もはや現実的ではありません。重要なのは、「安全にAIを使える環境」を整備することです。
ここで活用できるのが、当社の提供する「Aryaka Unified SASE as a Service」です。Unified SASEは、ネットワークとセキュリティーを統合し、企業全体の通信を可視化・制御するクラウド型のセキュリティープラットフォームです。
以下では、Shadow AIによるリスクをどのように軽減するのか、5つに整理して解説します。
1. グローバルネットワーク上でのデータ利用ポリシー徹底
Aryaka Unified SASEは、企業のグローバルネットワーク全体に統一ポリシーを適用し、AIツールへのデータアップロードやアクセスを自動で監視・制御します。
- 未承認AIへのアクセスをブロック
- ユーザーやデバイス単位でアクセスを制限
- ポリシー違反をログ・アラートで即時検知
これにより、社員が意図せず機密情報を外部AIに送信してしまうリスクを防止します。
2. 可視化と一元管理によるコンプライアンス対応
Unified SASEは、ネットワークとセキュリティーを統合的に監視し、企業全体で利用されているAIツールを中央管理画面で可視化できます。
- AI利用状況を全拠点から把握
- コンプライアンスに沿ったデータフローを確認
- ポリシー違反や異常通信を自動検知
これにより、監査対応や報告義務への対応が容易になり、グローバルレベルで一貫したセキュリティー基準の維持が可能となります。
3. アプリケーション/ユーザーレベルでの可視化
Aryaka Unified SASEは、AIアプリケーションの利用状況をリアルタイムで把握します。
- どのユーザーがどのAIを利用しているか
- どの程度のデータが送受信されているか
- 機密データが関与していないか
これにより、「使わせない」のではなく「安全に使わせる」運用を実現します。
4. ゼロトラスト制御による機密情報の保護
Unified SASEにはゼロトラスト(ZTNA)が組み込まれており、ユーザーやデバイスを信頼せず、常に検証をおこないます。
- 承認済みAIツールのみにアクセスを許可
- リスクのある外部サービスへの接続を制限
- 動的なアクセス制御で状況に応じた保護を実現
これにより、社員が利用できるAIを限定しつつ、安全な範囲でイノベーションを継続可能にします。
5. 柔軟な導入モデルで安全なAI活用を支援
AryakaのUnified SASEは、自社運用・共同運用・フルマネージドなど、組織の運用体制に合わせた柔軟な導入が可能です。
- 新しいAIツールの追加にすぐ対応
- セキュリティーポリシーの迅速な展開
- 安全なブラウザ環境やAPIゲートウェイとも統合可能
これにより、企業のAI利用を止めることなく、セキュアに発展させる基盤を提供します。
さいごに:Shadow AI時代の鍵は「可視化と制御」
Shadow AIは今後も増え続けるでしょう。しかし、恐れるべきはAIそのものではなく、見えない利用による無秩序化です。
当社のご提供する「Aryaka Unified SASE as a Service」は、ゼロトラスト、CASB、SWGといった複数のセキュリティー機能を統合し、グローバルネットワーク上でAI通信を可視化・監視・制御します。
これにより、企業は
- 生成AI通信のトラフィックを把握
- 未承認アクセスの遮断
- リスク行動の早期検知
を実現し、AI活用とセキュリティーの両立を図ることができます。
Aryaka Unified SASEが提供できるのは、「見える化」と「安心してAIを使える環境」です。今こそ、AI活用を次のレベルへと進化させる時です。
ご興味をお持ちの方、企業ネットワークの運用・セキュリティー対策で課題をお持ちの方は、お気軽にご相談・お問い合わせください。
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