ECにおける商品のタグ付けの方法と課題 〜目的やAI活用のメリットもご紹介〜

昨今のECにおいて、商品のタグ付け(タギング、ラベリング)に対するニーズや重要性は高まっています。適切なタグ付けは、ブランド価値の向上や売上拡大などのメリットをもたらします。

この記事では、商品のタグ付けについて押さえておきたいポイントについてご説明します。

ECにおける商品のタグ付けとは 〜おさらい〜

商品のタグ付けは、タグやラベルなどといった形式でメタデータを付与するプロセスのことで、タギングやラベリングなどとも呼ばれます。

ここで付与するメタデータは、その商品の機能や特徴、分類、関連するキーワード、構造化するための情報などで、顧客が商品検索する際の利便性を高める役割を果たします。

例えば衣料品などを扱うアパレルECであれば、色や袖の長さ、ネックタイプなどがタグ付けすべき項目として挙げられるでしょう。これらは、商品検索においてカテゴリー分類したり、絞り込み検索したりする際にも役立ちます。

ECでは商品の特徴などをタグ付けすることで、検索や絞り込みにも役立つ。
商品の特徴などをタグ付けすることで、検索や絞り込みにも役立つ。

ECにおける商品タグ付けの目的

多くの顧客がオンラインで買い物をするようになった昨今、顧客の利便性を向上しつつ効率的に運営することが、ECにとって求められるようになっています。そのような状況下、商品の適切なタグ付けの重要性はますます高まり、総じて効率化や利便性向上などを目的として活用されています。

1. 検索性の向上

顧客はキーワードや属性、特徴などによって、商品を検索したり絞り込んだりすることができます。タグが適切に付与されていることによって、例えば、シャツを色・柄や利用シーンで検索できるなど、目的の商品へ素早く辿り着けるようになります。

2. 関連商品のサジェスト

付与されているタグ情報などをもとに、精度の高い関連商品を顧客に提案(サジェスト)できます。

例えば、「ビジネスカジュアル」「メンズ」というタグが付与されている商品のページを表示している場合に、同じタグ情報を持つ類似商品を関連商品として提案されます。

3. 商品管理の効率化

商品にタグ情報を付与しておくことで、特定タグの付与された商品を一括して管理できるようになります。これによって、タグを在庫管理にも活用したり、プロモーション実施時における様々な業務をより効率化・迅速化したりできます。

4. 顧客の嗜好分析

タグ情報を付与し整理しておくことで、検索履歴・購入履歴の分析を通じて顧客の嗜好や需要傾向を把握しやすくなります。これによって、より効果的な商品展開やマーケティング施策の立案が可能となります。

ECにおける商品タグ付けの課題 〜なぜ難しいか〜

前述のように、商品のタグ付けはECにおいて重要な意味を持ちますが、実施にあたっては多くの課題・難しさが伴います。以下に、その代表的な理由を挙げていきます。

1. 時間や手間がかかる

タグ付けはすべての商品・SKUに対しておこなうのが通常で、特に多くの商品データを取り扱う場合には、とても多くの時間と労力を必要とします。そして時間がかかりすぎてしまうと、市場への投入が遅れてしまい、売上機会の損失へつながる恐れもあります。

また、後述するように「一度おこなえば終了」ではないことから、定期的に作業リソースを割く必要があり、実施を難しくしています。

2. 一貫性が確保しづらい

タグ付けにおいて一貫性を保つことは、とても重要である一方、難しいというのが現実です。

例えば実施する作業担当者やチームが異なる場合など、同じ種類の属性を持つ商品に、類似する異なるタグが付与されてしまうことがあります。一貫性が保てず欠如すると、検索結果のばらつきや顧客の混乱を招く恐れがあります。そして、商品ないし小売業者にとって競争力を失うことにもつながるのです。

3. 継続的な更新やメンテナンスが必要

先述したように、タグ付けは一時的な作業で済むものではなく、継続的なプロジェクトの中で管理していく必要があります。

商品のラインアップやトレンドは常に変化しており、これらに合わせて適正なタグについても見直し・更新が必要となります。特にファッション関連やシーズンものの商品では、トレンドに合わせたタグ付けが求められる傾向もより強いことから、管理にかかる手間・工数も増します。

4. 人的リソースが必要

商品へのタグ付けを手動でおこなう場合は特に、作業者の人的リソースが必要です。

商品の入れ替えや新商品の発売の頻度が上がる時期などには、より多いリソースの確保が求められ、かかる負担はますます大きくなります。人海戦術で対処しようとしても、組織にとって大きな負担となることには変わりありません。

機械化やAIソリューションの導入を通じて省力化する場合には、このような人的リソースを削減できますが、調整や確認などのフェーズで少なからず人的な対応が必要となります。

ECにおける商品タグ付けの方法・手順

これからご説明する手順とベストプラクティスに従って、商品タグを整備していきます。

  1. タグ付けのポリシーを設定
  2. 初期のタグリストを作成
  3. タグの品質管理
  4. データの収集とタグリストの改善・更新

それぞれについて、ご説明していきます。

1. タグ付けのポリシーを設定

タグ付けの一貫性を保つためにも、まずはポリシーを設定します。

次のような項目についてあらかじめ決めておき、ドキュメント化の上で、関係者・作業担当者へ共有・周知することが重要です。

  • タグの命名規則
  • タグの種類とカテゴリー (素材や色などの特性、用途、季節やイベント)
  • 必須タグと任意タグ
  • タグ設定時の最小数と最大数
  • タグの追加や削除のルール

2. 初期のタグリストを作成

商品カテゴリーごとに、初期のタグリストを作成します。

前ステップで設定したポリシーに基づき、商品の特性や特徴、用途、季節やイベントなどを取り入れます。例えば、ファッション商品の場合には、次のようなタグが設定できるでしょう。

  • メンズ (誰向けか)
  • ドレスシャツ (商品ジャンル)
  • 綿 (素材)
  • 無地 (柄)
  • 赤 (色)
  • 半袖 (形状)
  • ビジネスカジュアル (用途)
  • 夏 (季節)

3. タグ付けの品質を管理する

付与されるタグが正確かつ一貫しているか、タグ付け品質の定期的な確認は、とても重要です。適切なタグ付けがおこなわれているかをレビューしたり、タグ付けについてのトレーニングをおこなったりすることで、品質を管理・維持します。

ポリシー設定が不十分であったり、ポリシーに基づかない運用がなされていたりすると、付与されるタグに「ゆれ」が生じることも珍しくありません。例えば次のような重複は避け、いずれかに統一します。(ポリシーに沿っているか、最も一般的なもの)

  • Tシャツ (※Tが半角)
  • Tシャツ (※Tが全角)
  • ティーシャツ
  • T-shirt

4. データの収集とタグリストの改善・更新

顧客行動などのデータを収集し、タグ付けの改善に役立てます。顧客がどのようなタグで検索しているか、どのタグが使われていないかなどといったデータの分析を通じて、タグの有効性を評価しながら、不適切なタグを削除したり調整したりします。

そして変化する商品ラインアップに合わせて、ポリシーに基づいて不足するタグも、必要となるタイミングで追加していきます。

ECにおける商品タグ付けでAIを活用するメリット

タグ付けは、リソースや手間を要する作業であり、一貫性を保つのが難しいなどという課題があります。そこでAI(人工知能)を活用することによって、タグ付けのメリットを最大化できます。

どのようなメリットがあるのか、以下にご説明します。

1. 自動化による効率化

AIを用いることで、タグ付け作業を自動化できます。

商品の特徴をAIが理解し、適切なタグを迅速に自動付与していくので、タグ付けにかかる作業が大幅に効率化されます。

タグ付け対象となる商品が大量にあったり、新商品が頻繁に追加されたりするようなECサイトでは、より大きな恩恵を得られます。

2. 動的なタグ付けと管理

AIがリアルタイムにデータを処理することで、新しい情報に基づいて、タグを動的に追加・更新できます。例えば、季節やトレンドの変化に応じて、関連するタグを自動的に追加したり、不要になったタグを自動的に削除したりすることができます。

これによって、最新の情報を常に反映したタグ付けと管理が可能となり、顧客の求めるニーズへもより迅速に対応できます。

3. 精度の向上

AIは、膨大なデータ学習に基づいて商品特徴を正確に把握できるため、より精度の高いタグ付けが可能となります。

そのため、商品の特性を反映した正確なタグが付与され、顧客は求める商品をより的確に探しやすくなります。

4. 一貫性の維持

AIでは一貫したルールに基づいてタグ付けをおこなうので、手動対応時にありがちなタグの不統一を防ぐことができます。複数人の担当者が作業をおこなう場合には、作業者ごとにタグの選定・使用にばらつきを生じやすいという課題がありますが、AIを用いることで容易に解決できます。

一貫性のあるタグ付けによって、より正確な検索結果や商品提案を表示することができ、顧客体験の向上につながります。

5. 顧客行動の分析と予測

AIは、顧客の検索行動や購入履歴を分析し、未来の行動を予測する能力を持っています。

これに基づいて、顧客がどのような商品を探しているのか、どのようなタグが有効であるかを予測できます。これによって、顧客のニーズに合う商品をより効果的に提案するための基盤を整えられます。

まとめ

ECにおける商品のタグ付けは、運用管理および顧客満足それぞれの観点から、とても重要な意味合いを持つようになりました。

タグ付けには多くの手間と労力を要するのが課題でしたが、AIを活用することで、精度向上などでメリットを最大化しつつ、効率的に実施できるようになりました。

当社においても、「AI画像解析による自動タグ付け」のサービスを取り扱っており、アパレル企業を中心に多くの導入実績があります。サービスのご紹介や無料デモも承りますので、ご興味のある方は、ご遠慮なくご相談いただけますと幸いです。

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