今さら聞けない?APIとは何? 〜概要とメリット、セキュリティー脅威について〜
Webサービスの普及と進歩は著しく、これに伴ってAPIの利用も広がっており、もはや不可欠なものとなっています。
この記事では、APIに関して押さえておきたい概要やメリットとともに、セキュリティー脅威と求められる対策についてもご紹介します。
APIとは 〜機能と仕組み〜
API(Application Programming Interface)とは、異なるアプリケーションやシステムが互いに通信し、データや機能を共有するためのインターフェイスです。APIではアプリケーション間の橋渡し役を担い、開発を効率化したり、機能拡張を容易にしたりできます。
APIの提供する機能と特徴
APIで提供される機能として、主に以下が挙げられます。
- データへのアクセスと操作
- 機能の利用
保管されたデータへアクセス・操作(取得、作成、更新、削除)したり、サービスの持つ機能を利用・操作したりするための、インターフェイスとして機能します。
そしてAPIには、次のような特徴があります。
- 抽象化: 複雑な機能などについて、詳細な実装を知らなくても利用できる
- 標準化: 共通ルールに従って実装され、異なるシステム間での互換性が確保される
- 再利用性: 複数のアプリケーションやシステムで再利用できる
このような機能と特徴を持つことから、多様なシステムやアプリケーションで同様のサービスを実現しやすくなるなど、昨今の開発に求められる仕様との親和性も高くなっています。
APIの基本的な仕組み
APIを用いて通信されるデータは、リクエストとレスポンスの形式で成り立っており、クライアント(APIを利用したい側)とサーバー(APIを提供する側)との間でデータを交換します。以下が、APIを利用する際の基本的な流れです。
1. リクエストの送信
クライアントは、指定されたエンドポイント(例:APIのURL)に対してリクエストを送信します。リクエストには通常、必要なヘッダーやパラメーターなどが含まれます。
2. リクエストの処理
サーバーがリクエストを受け取り、認証やデータの検証をおこないます。その後、リクエスト内容に基づいてデータベースへアクセスしたり、必要な各種処理をおこなったりします。
3. リクエストの返却
サーバーは処理が完了すると、クライアントへレスポンスとして結果を返します。このときにデータは、JSONやXMLなどの扱いやすい形式で返されます。
APIの種類
一口にAPIといっても、いくつかの種類があります。
ネイティブAPI
WindowsやmacOSのようなOSの提供するAPIで、次のようなものがあります。
- Windows API: Windows
- Cocoa: macOS
- Cocoa Touch: iOS
- Android API: Android
OSが持つ機能の利用やデータの取得を容易にできるようにし、開発の効率を高めることができます。
ライブラリーAPI、ランタイムAPI
JavaやCなどといったプログラミング言語が提供するAPIで、開発効率を向上することはもちろん、言語の持つ特徴や能力を発揮しやすくなります。
Web API
インターネット経由で情報をやり取りするAPIで、プログラミング言語などに左右されないという特徴から汎用性が高く、クラウドサービスやSNS、決済などでも利用されます。以下のようなものは、Webサイトでの利用を目にする機会も多いでしょう。
- Amazon API: Amazonで販売されている商品情報の取得など
- Twitter API: X(旧Twitter)におけるポスト(ツイート)などの表示や各種操作
- Graph API: Facebookにおける投稿などの表示や各種操作
- YouTube Data API: アップロードやコメント投稿、表示などの各種操作
APIの主な利用シーン
途中でも少し触れましたが、APIは様々な分野で活用されています。利用例を、いくつかご紹介します。
- SNS: 投稿手順の簡略化や、他サービスでのログイン機能
- 決済システム: ECサイトやアプリへの、決済機能の提供
- 地図サービス: Webサイトやアプリへの、地図情報の埋め込み
- 天気情報: Webサイトやアプリへの、天気情報の埋め込み
- 音声認識: 聞き取った音声から、テキスト情報への変換
- チャットボット: Webサイトやアプリへの、対話機能の提供
APIのメリット
APIには様々なメリットがあり、昨今のアプリケーション開発には欠かせない要素となっています。
1. 開発効率の向上
一度作成されたAPIは、異なるシステムやプロジェクトで何度でも再利用できます。そのため、同じ機能を幾度も開発する手間が省け、時間とコストを削減できます。
また、APIはアプリケーションをモジュール化する意味合いでも使用されます。異なる機能ごとに分離できるので、開発時にはチームを分け、特定のモジュールに集中・専念して作業できます。
2. 拡張性の向上とイノベーションの促進
新しい機能やサービスを、APIを介して簡単に統合できます。これにより、日々変わり続ける市場のニーズへ、迅速に対応しやすくなります。
また、外部開発者やパートナーがAPIを利用して新しいアプリやサービスを開発できることから、エコシステム全体のイノベーションが促進されます。わかりやすい例として、SNSプラットフォーム事業者ではWeb APIを公開しており、これをサードパーティーの事業者が利用することで、多くの独自なサービスが開発・公開されています。
3. コスト削減
開発効率の向上にも重なる部分ではありますが、共通となる部分を開発し直す必要がなくなり、その部分の検証作業についても省けるようになるので、開発の一連作業にかかる時間やコストを削減できます。
また、運用面でのコストも削減できます。システムの運用や保守においてAPIを利用することで、あらゆる操作や監視を自動化できるようになり、人員配置の適正化にも繋げられます。
4. 互換性の確保
APIでは標準化されたインターフェイスが提供されることから、異なるシステム間での通信が容易となり、互換性が確保されます。連携する外部システムの一部を変更したい場合でも、変更先のシステムでもAPIを提供していれば、作業時のハードルが下がります。
5. セキュリティーの向上
APIではユーザーやアプリケーションの認証・許可を管理できるので、各種認証やAPIキーなどを使用した安全なアクセス制御が可能です。また、APIゲートウェイやWAFなどを導入しやすくなるので、APIへのアクセス制御を強化し、不正アクセスや攻撃からシステムを保護できます。
APIを狙うサイバー攻撃の脅威
便利でメリットの大きいAPIですが、利用の拡大に伴って、サイバー攻撃による脅威も増しています。
サイバー攻撃の状況や事例、対策方法については、別記事にまとめていますので、併せてご確認ください。
まとめ
APIは、Webサービスを含むアプリケーション・システムの開発において、もはや欠かすことのできないものとなっています。便利でメリットの多い反面、セキュリティー侵害されやすくリスクが多いというのも事実です。
適切な基本的対策を施すことはもちろん、重要度に応じて、セキュリティー対策サービスの導入についても検討すべきでしょう。
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