DCP配信とHDD輸送を比較! 実際のコストは?
DCPを各劇場までオンラインで配送する、"DCP配信サービス"。
これを利用する際、HDDのコピー代や輸送費用はかかりませんが、その代わりに配信料がかかることとなります。
では、HDDでの運用時と比べた場合、実際のコストはどうなるのでしょうか?
DCP配信とHDD輸送の、料金体系は?
料金構造として、DCP配信とHDDの場合を図式化すると、下記のようになります。
HDDの場合、フィルムでの運用時とほぼ同様の構造になっていることがお分かりになるかと思います。
単価自体は、物理メディアを必要としない配信の方が安価といわれていますので、単純計算ではDCP配信に分があります。
しかし、1本のHDDを複数の映画館に回して利用するなど、フィルムの時と同様に運用する場合、上映形態によってはHDDの方が安価になる場合もあります。
DCP配信とHDD輸送の、どちらを選択すべき?
HDDで運用する場合、映画館の数だけHDDが必要となります。そのため、初日から50館~100館以上の規模で上映されるようなロードショー作品では、コピー作業をおこなう会社やHDD本数の確保など、あらかじめ綿密な調整が必要です。また、HDDへのコピーにかかる時間や、遠方の映画館までの配送にかかる日数、天候不良による配送の遅延・・・など、様々なことを考慮しなければなりません。
一方でDCP配信の場合には、元のHDDが1本だけあれば大丈夫です。その中のDCPを配信センターに保存することで、あとはネットワークを通じて各映画館へ届けることができるため、事前準備に翻弄されたり天候に左右されることはありません。
ただし、ミニシアター作品のように全国で順次公開していくものについては、フィルムの運用時と同様に、HDDのコピー数を抑えて、少数のHDDを各映画館に回していく方法をとっている場合がほとんどではないでしょうか。そうなると、DCP配信の方がコスト面では上回ってしまうことも想定されます。
また現時点では、国内全ての映画館への配信対応ができていないことから、どちらの利用がお得になるのかは、各作品の上映形態やブッキングする映画館によって変わってきます。
「HDD輸送」か「DCP配信」もしくはその「両方」を利用するなど、作品によってパターンを織り交ぜて利用することが、コストの抑制に繋がると考えられます。
DCP配信の隠れたコストメリット
DCP配信サービスには、実際の利用料以外にもコストメリットが隠れています。それは、運用における諸作業の軽減です。
配信サービスを利用することで、
- HDDの管理が不要
- 盗難や紛失が生じない
- 上映日に合わせた配送手配が不要に
- 輸送時のHDD破損による再手配が不要に
・・・など、映画の素材管理にかかわる運用は、大幅にラクとなります。
ひとつひとつは小さな手間ですが、この手間が全て省ければ、その時間を別の業務に利用できるようになります。人件費の再配分や新規業務の創出など、経営的な観点においても、DCP配信を利用するという選択には、検討の余地があるのではないでしょうか?
さいごに
昨今、SDGsへの取り組みなど国際的にサスティナブルな運用が推奨される中で、映画業界を取り巻く環境は、今後も変化を求められ続けるはずです。
コロナ禍において、今も運用コストの削減と日々向き合っていらっしゃる方が多いかと思います。コスト面を考えた上で最適な運用を選択しつつ、今ある運用のスタンダードがどうなっていくのか、先を見据えた運営と臨機応変に対応できる柔軟性が求められています。
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ブロードメディアでは、デジタルシネマに関する各種サービスを提供しています。
上映素材を映画館までインターネット経由で配送するDCP配信サービスや、上映・興行管理システム(TMS:シアターマネジメントシステム)については、日本国内の50館以上へ導入され、映画館のデジタル運用をサポートしています。
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