クラウド活用を阻むネットワーク課題を解決するには 〜SASE/SD-WANで高速化・安定化を実現〜

ビジネスにおけるクラウド活用、進んでいますか?もしかすると、お使いのネットワークがビジネスのスムーズな推進を阻害しているかもしれません。

この記事では、クラウド活用で多くの企業が共通して抱えるネットワークまわりの課題とともに、解決策としてのSASEやSD-WANについてご紹介します。

多くの企業がクラウド活用で抱える課題とは

近年では多くの企業で、ビジネスの効率化やコスト最適化のため、AWSやAzure、GCPなどといったクラウドサービスが積極的に利用されています。業務アプリのクラウドサービス化も進み、SaaSの導入や社内システムのクラウド移行は、もはや当たり前になりました。

このように企業でのクラウド活用が広がることで、多くのメリットを享受できる一方で、様々な課題についても浮き彫りとなってきています。

このような状況に心当たりはありませんか?

クラウド活用ならではの課題として、次のようなものが挙げられます。

  • SaaSアプリの動作がなぜか重い、フリーズしやすい
  • クラウド上のファイルアクセスやデータ転送に時間がかかる
  • リモートワーク環境からのWeb会議で、音声や映像が途切れる
  • ネットワーク回線コストがかさむ
  • セキュリティー対策が複雑化して、IT部門の負担が増えている
  • 拠点開設やサービス導入時のネットワーク構築に時間がかかる

もし、このような課題に心当たりがあるようでしたら、原因はネットワークの仕組みにあるかもしれません。

「クラウド 接続 遅い」「SaaS 遅い 解決策」といったキーワードで、まさに解決策を探しているのではないでしょうか? 従来のネットワークでは、クラウドサービスの利用増加やセキュリティー要件の変化に、十分に対応しきれていないケースが少なくありません。

従来のネットワークがクラウドに適していない理由とは?

レガシーな従来のネットワークでは、なぜクラウドサービスの性能を最大限に引き出すことが難しくなっているのでしょうか。現在抱えているかもしれない具体的な課題と合わせて、見ていきましょう。

バックホールによる通信のボトルネックと遅延

従来のネットワークでは、拠点やリモートで働く社員がSaaSなどのクラウドサービスにアクセスする際にも、企業のデータセンターを一旦経由する「バックホール」と呼ばれる仕組みが一般的でした。

旧来においてはセキュリティー確保のための重要かつ有効な対策とされていましたが、クラウドサービスがインターネット上に直接存在する現在では、ボトルネックとなりがちです。

これは、データセンターを経由することで通信経路が余計に長くなり、遅延を生じやすくなることとなります。こうした遅延の積み重なりがSaaSなどのアプリケーション動作を遅くし、「拠点間通信の遅延」や「データ転送速度の低下」といった課題も引き起こしているのです。

企業の拠点が海外・グローバルにわたる場合、遅延やスループット低下は、より顕著になります。

複雑化するセキュリティー対策とコストの増大

クラウド利用の増加やリモートワークの普及により、社内ネットワークの「境界」が曖昧になり、ネットワークセキュリティーの対策が複雑化しています。

各拠点で個別にセキュリティー機器を導入したり、リモートで働く社員のセキュリティー確保のためにVPN環境を複雑にしたりと、IT管理の負担やコストが膨らむ傾向にあります。これはまさに、「クラウドセキュリティー強化」「VPNの限界」といった検索キーワードが示す課題です。

運用管理の複雑さと変化への対応の遅れ

従来のWANでは、複雑な設定や物理的な機器の導入・管理が必要で、運用に手間がかかります。物理的な作業が多いことから、急な回線帯域の増強や新たな拠点の追加、ネットワーク構成の変更など、ビジネスの変化へ迅速に対応することが難しいのが現状です。

ネットワーク運用の複雑化は、特に複数拠点を有する企業では共通課題として認識されており、「ネットワークの柔軟性」などといったテーマで解決策を探している企業はとても多いのです。

SASEやSD-WANでクラウド課題を解決|高速化・安定化への近道

インターネットを前提としたクラウド利用や多様な働き方が広がる中で、企業のネットワークには、柔軟性・効率性・セキュリティーといった多面的な対応が求められるようになっています。こうした背景から注目されているのが、「SD-WAN」および「SASE」という2つのアプローチです。

SD-WANは主に「ネットワークの通信最適化」に焦点を当てた技術であり、複数の通信回線を柔軟に制御することで、アプリケーションの種類や状況に応じた最適な経路選択を実現します。

一方のSASEはSD-WANの機能を内包しながら、セキュリティーサービスをクラウド上で統合的に提供する、より包括的なアーキテクチャーです。特にSASEでは、クラウド時代のネットワークにおけるパフォーマンスの最適化に加えて、セキュリティーの強化を同時に実現できます。

SD-WANの概要とメリット

SD-WANは「ソフトウェア定義型WAN (Software Defined WAN)」の略称で、ソフトウェアベースでWANを仮想的に柔軟制御する技術です。

これまでの「ルーターによる通信経路の設定」をソフトウェアで一元的に管理・制御することで、複数の回線(インターネット回線や専用回線など)を仮想的に一つにまとめ、利用するアプリケーションの種類に応じて、最適な通信経路を自動で選択・制御できるようになります。

SD-WANの中でも「ネットワーク最適化」機能を有するソリューションでは、次のようなメリットがあります。

クラウドアプリケーションの高速化と安定稼働

SaaS利用時の通信遅延や不安定さが解消され、社員の業務効率が格段に向上します。ビデオ会議の品質向上や、大容量ファイルのやり取りもスムーズになり、ストレスなくクラウドサービスを利用できるようになります。

海外・グローバルに拠点を有する企業では、パフォーマンス劣化の著しいケースも多いことから、より強力な改善・高速化の効果が得られるでしょう。

IT部門の管理負担軽減とコスト削減

複雑なネットワーク設定や機器の管理から解放され、IT部門の担当者は、本来の戦略的な業務に集中できます。回線費用の最適化や、ハードウェア投資の削減にもつながります。

ビジネスの成長に合わせた柔軟な対応力

新たな拠点の開設や社員数の増加、リモートワークの拡大といったビジネスの変化にも、迅速かつ柔軟に対応できるようになります。

SASEの概要とメリット

SASEは「Secure Access Secure Edge」の略称で「サシー」「サッシー」と読み、先にもご説明したように、SD-WANを内包しながらセキュリティー機能を持たせたアーキテクチャーです。

SASEのソリューションでは、SD-WANのメリットに加えて、次のようなメリットも享受できます。

場所を選ばないセキュアなアクセス

社員がどこからアクセスしても、常に同じセキュリティルールが適用され、安全にクラウドサービスや社内システムに接続できます。「セキュアリモートアクセス」の実現に貢献します。

ゼロトラストセキュリティーの実現

「信頼せず、常に検証する」というゼロトラストの原則に基づき、利用するユーザーやデバイスを厳格に認証・認可してからアクセスを許可します。ゼロトラストは、旧来の境界型セキュリティーが時代遅れで危険とされる中、昨今では標準となりつつあるアプローチです。

セキュリティーの一元管理

バラバラになりがちだったセキュリティー対策をクラウド上で統合管理できるため、運用にかかる手間を大幅に削減します。

コスト削減と柔軟な拡張性

個別のセキュリティー機器を導入する必要がなくなるため、初期投資や運用コストを抑えつつ、利用規模に合わせて柔軟に機能を拡張できます。また、新しい種別の攻撃にも対応できるなど、昨今の目まぐるしく進化し続ける脅威へも対処しやすくなります。

SASEやSD-WANを導入する際のポイント

SASEやSD-WANの導入を成功させるには、いくつかの重要なポイントがあります。

現状のネットワーク環境と課題の把握

まずは、現在のネットワーク構成や通信量、利用しているクラウドサービスを確認します。その上で、具体的な課題内容についても正確に把握することが重要です。

  • どこで遅延が発生しているか
  • どのアプリでどのような不具合が生じるか
  • セキュリティーの懸念点

ビジネス要件と将来のビジョンの明確化

将来的にどのような働き方を実現したいか、どのようなシステムをクラウドへ移行する計画があるかなど、ビジネスの方向性とIT戦略を明確にし、それに合わせたネットワーク設計を検討しましょう。

信頼できるパートナー企業の選定

SASEやSD-WANのソリューションは多岐にわたります。豊富な導入実績を持ち、きめ細やかなサポートを提供してくれる信頼できるパートナー企業を選定することが、成功への鍵となります。

一概にSASEやSD-WANを謳っていても、実現するための仕組みや機能は大きく異なる場合があります。自社の課題を直接的に解決できるソリューションを提供しているか、比較検討は欠かせません。

段階的な導入の検討

一度にすべてをSASE/SD-WANに切り替えるのではなく、まずは一部の拠点やアプリケーションから試行的に導入し、効果を検証しながら段階的に拡大していくアプローチも有効です。導入後も継続的に最適化できる場合が多いので、ベンダー側との調整の可否についても確認すると良いでしょう。

さいごに|SASEやSD-WANでクラウドの課題を解決

企業のクラウド活用で課題を抱えている場合、多くのケースにおいてSASEやSD-WANが効果を発揮します。特に、海外・グローバルに拠点を有する場合には、なおさら強力なメリットを享受できます。

当社では、最適化されたSASEやSD-WAN、ゼロトラストなどを取り扱っており、多くの企業へこれらの導入をサポートしています。何かお困りのことなどありましたら、些細なことでもご遠慮なくご相談いただけますと幸いです。

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