SD-WANとSASEの成功に関する年次レポート 〜Aryaka Global State of the WAN 2022〜

クラウド型SD-WANサービスを展開するAryaka社から、年次調査レポート「Aryaka Global State of the WAN(SOTW)」の2022年版(第6回)が公表されました。

レポートは、世界中の企業における意思決定者1,600名への調査をもとに、4つのテーマに沿って分析しています。

  1. リモートワーク&ハイブリッドワークの加速
  2. 企業アプリケーションの利用とパフォーマンス
  3. ネットワークやセキュリティーにおける複雑さの管理
  4. ネットワーク&セキュリティーの融合とSASEアーキテクチャー

この記事では、調査結果の内容についてわかりやすくまとめたレポートのサマリー版を、日本語訳でご紹介します。

なお、レポートのフル版およびサマリー版は、PDF形式にてこちらから無料でダウンロードしていただけます。

1. リモートワーク&ハイブリッドワークの加速

2020年のパンデミックを受けた世界中の企業・組織は、これに適応するため、リモートワーク体制を整えることが急務となりました。一部ではパンデミック前のような出社勤務に戻りつつありますが、多くの企業・組織ではリモートワークが定着し、出社とリモートワークを併用するハイブリッドワークは今後も続くとみられています。

このような状況を踏まえ、リモートワーク時にも利便性を損なわずにセキュリティーを確保することが、2022年のグローバル企業や組織にとって重要課題となります。

CIO(Chief Information Officer:最高情報責任者)やそのチームは、サイトプロファイルやクラウド利用、オンプレミス/リモートなどの変化に適応できるWANを必要としています。

a. ハイブリッドワーク定着を見越した、事業拠点の削減

多くの企業では、ハイブリッドワークの環境が定着していくことを見越して、固定インフラを削減しています。

回答者の4分の1は、「事業拠点のうち25%〜50%を閉鎖した」と述べています。

そして、かなりの割合の従業員がリモートワークを続けることが予想されます。回答者の3分の1が、「過半数の従業員が続けるだろう」と述べています。

パンデミック関連の制限解除後、従業員の何%がリモートワークまたはハイブリッドワークを継続するか
<図1a-1:パンデミック関連の制限解除後、従業員の何%がリモートワークまたはハイブリッドワークを継続するか>
4分の1が、事業拠点の25〜50%を閉鎖した
<図1a-2:4分の1が、事業拠点の25〜50%を閉鎖した>

b. 回線帯域を、動的に割り当てる重要性

日本をはじめグローバルにおける多くの企業では、永続的なハイブリッドワークを採用しています。

この変化によって、パフォーマンスの必要性が高まり、オンプレミスとリモートワーカー間で動的に帯域幅を割り当てることについて、回答者の61%が「非常に重要である」と述べています。

在宅勤務の優勢を踏まえ、帯域幅や接続性の動的再割り当ては、どれほど重要か
<図1b:在宅勤務の優勢を踏まえ、帯域幅や接続性の動的再割り当ては、どれほど重要か>

c. パンデミックによって、DX加速が最優先事項に

ハイブリッドワークへの移行に伴って、分散型の新しい労働力を有効に機能させる必要がある中、デジタルトランスフォーメーション(DX)の加速が最優先事項であると、回答者の半数近くが述べています。

パンデミックは、2022年の優先事項にどのような影響を与えたか
<図1c:パンデミックは、2022年の優先事項にどのような影響を与えたか>

2. 企業アプリケーションの利用とパフォーマンス

アプリケーションのパフォーマンスとネットワークの複雑さの管理は、これまでの年次調査においても上位の課題として挙げられていました。これらは、クラウドベースのアプリケーションの進化や、ネットワークセキュリティーの脅威、ハイブリッドワークの出現などといった、劇的な環境変化による影響を受けています。

IT組織においては、複雑さを効果的に管理しながら、アプリケーションの最適なパフォーマンスを確保し、ビジネスにおけるニーズを満たすことが求められます。

a. クラウド/SaaSアプリケーションの割合は、引き続き増加

企業がクラウドファーストの姿勢をとるにつれて、クラウドおよびSaaSベースのアプリケーションは、引き続き勢いを増しています。回答者のおよそ3分の1は、「半分以上のアプリケーションがクラウド上で動作している」と述べています。

アプリケーション全体の何%がSaaS/クラウドベースか
<図2a:アプリケーション全体の何%がSaaS/クラウドベースか>

b. 最重要アプリケーションとして、Microsoft Teamsが顕著な伸び

予想どおり、有名なSaaSアプリケーションの多くは、過去1年間で中心的な役割を果たしています。特にMicrosoft Teamsは顕著で、昨年におこなわれた前回調査の34%から58%にまで増加しました。

他にも、SalesforceやSAP/Hanaのようなビジネスプロセスアプリケーションが強力な競合として存在する中、Zoomも大きく増加しています。

また、48%の企業では、その業界固有のアプリケーションも展開しています。

最も重要なSaaS/クラウドアプリケーションはどれか
<図2b:最も重要なSaaS/クラウドアプリケーションはどれか>

c. アプリケーション多様性がもたらす、複雑さとコストの問題

クラウドへの移行と、それによってサポートされるアプリケーションの多様性は、複雑さとコストの問題を伴います。これはアンケート結果でも明らかとなっており、直面する重大な課題の36%が「高いコスト」、そして31%が「複雑さ」と続いています。

WANで直面する最大の課題は
<図2c:WANで直面する最大の課題は>

3. ネットワークやセキュリティーにおける複雑さの管理

グローバルな組織は、マネージドサービスを引き続いて採用しています。レガシーなデータセンターをやめてクラウドへ移行するとともに、組み込み機能を備えたマネージドWANおよびマネージドセキュリティサービスの両方へ移行する傾向にあります。

a. 複雑さを管理するために広がる、マネージドサービス活用

複雑さを管理するためのアプローチ方法について、「DIY(内製)」が19%にとどまる一方、3分の2以上が「マネージドサービスの活用」と回答しています。

これは、完全統合されたマネージドサービスにおいて、柔軟性やシンプルさ、コスト効率などの面で優位であると認識されていることを意味します。

SD-WANおよび/またはSASEを含むWAN変換を実行している場合、実行する予定はありますか?
<図3a:SD-WANおよび/またはSASEを含むWAN変換を実行している場合、実行する予定はありますか?>

b. 重要なマネージドサービスは、WANやSASE/セキュリティー

ただし、ここでのマネージドサービスは、WAN接続をオールインワンで統合できる必要があり、「マネージドWAN」がほぼ半数によって重要と回答されていることからも裏付けられます。

「マネージドSASE&セキュリティー」に至っては、およそ3分の2が重要と回答し、他には「アプリケーション最適化」や「マネージドラストワンマイル」が続いています。

組織にとって重要なマネージドサービスはどれですか?
<図3b:組織にとって重要なマネージドサービスはどれですか?>

c. WAN移行に伴い、パブリッククラウドへの移行も加速へ

クラウドおよびマネージドサービスへの移行は、従来型データセンターの廃止とも相関関係があります。ほぼ半数が、今後2年間でパブリッククラウドへの移行を計画しています。

WAN変革の一環として、データセンターの計画はどのようなものですか。
<図3c:WAN変革の一環として、データセンターの計画はどのようなものですか。>

d. IT予算は、増加する傾向に

IT予算に関しては、ネットワークとセキュリティーの双方で強気な傾向が見られます。

それぞれ、回答者のほぼ4分の3が10%以上の予算増加を予想し、4分の1に至っては25%以上の予算増加を予想しています。

予算が2021年から2022年にどのように変化すると予想しますか?
<図3d:予算が2021年から2022年にどのように変化すると予想しますか?>

e. ネットワーク管理に対する優先度が、増大傾向に

企業は、この予算投資をどこに割くのでしょうか。クラウド移行やアプリケーションの多様性、WANの複雑さに対して、より効果的な制御が求められます。

そのような中、3分の2以上が「ネットワーク管理と監視」「クラウドベースのネットワーク管理」を最優先事項として挙げています。

あなたの会社は2022年にこれらのインフラストラクチャイニシアチブのどれを実装しますか?
<図3e:あなたの会社は2022年にこれらのインフラストラクチャイニシアチブのどれを実装しますか?>

4. ネットワーク&セキュリティーの融合とSASEアーキテクチャー

グローバルな組織では、SASE(Secure Access Service Edge)は導入していくべきものとして認識されています。そのような中でも、多くの組織において「どのように導入していけば良いのかわからない」とされていることも事実です。

実装のタイムラインや意思決定者の役割、SASEへのアプローチ方法は、企業の規模や地域によって異なります。ただし、すべての組織における共通の懸念事項として、「管理の複雑さ」「高い実装コスト」の2つが、上位に挙げられています。

a. SASEへの取り組みは、戦略策定やVPN廃止のフェーズへ

企業におけるSASEへの取り組みは、様々な段階にあります。

3分の1以上が、全体的な戦略を立てて目標を設定し、次いでほぼ同等の割合で、レガシーなVPNを段階的に廃止しています。そして、29%がクラウドセキュリティーSWG/CASB/ZTNAを統合し、26%がアプライアンス型セキュリティーの廃止などと続きます。

ただし、企業のSASEへの取り組みに際しては、複数のことが並行実施されている点にも注意する必要があります。

SASEに関してどのようなことを実施されていますか?
<図4a:SASEに関してどのようなことを実施されていますか?>

b. SASE取り組みへの課題は、複雑さやベンダーの考え方

企業がSASEへ取り組むにあたって、いくつかの課題への直面も見えてきています。

例えば、回答者の40%は「複雑さ」を、39%は「単一ベンダーの考え方」を、そして3分の1は、「移行戦略の策定」を、それぞれ課題として挙げています。

組織でSASEを採用する際の最大の課題は何ですか?
<図4b:組織でSASEを採用する際の最大の課題は何ですか?>

c. SASE採用によるメリットは、コスト削減や時間節約

しかし、SASEによって多くの利点がもたらされることで、挙げられていたような課題も相殺されるととれます。

例えば、ともに37%の回答者が「コスト削減」「時間節約」、そして3分の1は「機敏さの向上」を利点として挙げるなど、ビジネス上のメリットを生じていることがわかります。

SASE採用の最大の利点は何ですか?(導入済みの場合のみ)
<図4c: SASE採用の最大の利点は何ですか?(導入済みの場合のみ)>

d. ネットワークセキュリティーは、クラウド&オンプレのハイブリッドが優勢

昨今の企業における複雑さを踏まえると、3分の2がオンプレミスとクラウドの機能を組み合わせたハイブリッドなセキュリティーアーキテクチャーを取り入れようとしている点も、不思議ではありません。

クラウドのコンポーネントは、SASEアーキテクチャーへ発展してきていますが、セキュリティーをクラウドのみと考えているのは13%であり、拠点のみと考えているのはわずか7%に過ぎません。

ネットワークセキュリティについて、今後の取り組みは?
<図4d:ネットワークセキュリティについて、今後の取り組みは?>

e. IT責任者が、ネットワーク&セキュリティーの両方について意思決定

意思決定については、購買部門と同様、まだ断片化されているのが現状です。

回答者の41%は、IT責任者が、ネットワークとセキュリティーの両方について意思決定すると述べています。一方で、30%はセキュリティー責任者が、21%はネットワーク責任者となっています。

あなたの会社におけるSASEの意思決定者は誰ですか?
<図4e:あなたの会社におけるSASEの意思決定者は誰ですか?>

最後に:オリジナル(英語版)もお渡しできます

ここまで、4つのテーマに沿った分析について、ご紹介しました。

短くまとめる前のフル版レポート「Aryaka Global State of the WAN(SOTW)」およびサマリー版については、こちらよりPDF形式にて無料でダウンロードできます。

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