クラウドコンピューティングの現状と今後の課題

クラウドコンピューティングは、企業のITインフラを変革し、柔軟性向上やコスト削減、効率化をもたらしています。

クラウドはどのように機能しているのか、なぜ多くの企業が転換しているのか、その基本概念と今後想定される課題について解説します。

クラウドで情報が処理されているイメージ

クラウドコンピューティングとは 〜おさらい〜

クラウドコンピューティングは、サーバーやデータベースなどのITリソースを、インターネットを通じて提供する手法です。

従来のオンプレミス型インフラとは異なり、自社データセンターの構築・維持が不要で、必要なときに必要なだけの計算能力やストレージを利用できることが特徴です。柔軟性が向上し、ビジネスの変化にスピーディーに対応できるのと同時に、コスト削減も実現できます。

クラウドコンピューティングには、サービスの提供形態によって、次のようなモデルがあります。

  • IaaS (Infrastructure as a Service): ハードウェアやインフラストラクチャーを提供
  • PaaS (Platform as a Service): アプリケーション実行用のプラットフォームを提供
  • SaaS (Software as a Service): ソフトウェアを提供

主要なクラウドベンダーと各社の特徴

日本国内で広く利用されているクラウドベンダーについて、それぞれの特徴とともにご説明します。

A. AWS (Amazon Web Services)

AWS (Amazon Web Services)は、クラウドコンピューティング分野において世界的に最も支持・利用されています。強力なパートナーエコシステムを有しており、様々な業界に特化したソリューションも展開されています。

1. あらゆる分野をカバーする、多種多様なサービス

AWSでは数百ものクラウドサービスを提供しており、コンピューティングやストレージ、データベース、人工知能(AI)、IoTなど、あらゆる分野にわたるサービスを網羅しています。これにより、様々な業界・規模の企業のニーズに対応できます。

2. 堅牢でグローバルなサービス展開

世界中に分散されたデータセンターを擁し、高い可用性と信頼性を提供しています。多くの地域にリージョンが展開されており、地理的な近接性などを考慮しながら選択できます。

3. 強力なコミュニティー

大規模かつ活発な開発者コミュニティーを有しており、様々な業界での成功事例・ベストプラクティスが共有されています。これにより、開発者や企業は相互に学び合い、効果的なソリューションを構築できます。

B. Microsoft Azure

Microsoft Azureは、Microsoft製品とのシームレスな統合運用などを強みとしていて、世界的にAWSに次いで広く利用されています。こちらも強力なパートナーエコシステムを有し、業界特化のソリューションも幅広く展開されています。

1. 統合されたエンタープライズソリューション

Azureでは、Microsoftのエンタープライズソフトウェアとのシームレスな統合を提供しています。これにより、既存のMicrosoft製品・サービスとの相互運用性が向上し、より容易にクラウド移行を進められます。

2. ハイブリッドクラウドのサポート

オンプレミス環境との連携を得意としており、ハイブリッドクラウドソリューションの構築が可能です。これは、業務プロセスやデータをクラウドに移行しつつ、一部をオンプレミスで維持したい企業にとって重要なポイントです。

3. 幅広いAIとデータサービス

強力なAI(人工知能)およびデータサービスを提供しており、機械学習やビッグデータ解析、IoTなど、先進的なテクノロジーの活用が可能です。

C. GCP (Google Cloud Platform)

GCP (Google Cloud Platform)は、前出サービスほどのシェアは持っていないものの、特にデータ処理や機械学習に強みを持っています。

1. 強力なデータ処理と機械学習

Googleのデータ処理エンジンや機械学習プラットフォームを活かしたサービスが豊富であり、データを駆使するアプリケーションやビジネスをサポートしています。

2. グローバルなネットワークの強化

Googleは世界中に強力なネットワークを持ち、高速でセキュアな通信が可能です。これにより、クラウドサービスの利用者は低遅延かつ高いパフォーマンスを期待できます。

3. マルチクラウドとオープンなエコシステム

マルチクラウドをサポートしているので、異なるクラウドプロバイダーとの統合・併用もスムーズにおこなえます。また、オープンソースコミュニティーへも積極的に貢献しており、Kubernetesプロジェクトへの支援などを通じて、オープンなクラウドエコシステムの構築に寄与しています。

クラウドコンピューティングにおける課題 〜遅延と信頼性低下〜

クラウド活用が継続的な広がりを見せる中、アーキテクチャーならではの課題も浮き彫りとなっています。

1. インターネット利用の拡大による影響

インターネット利用が拡大を続けるにつれて、ネットワークの遅延(レイテンシー)が重要な懸念事項となっています。特にクラウドサービスの利用頻度が高まることで、遅延や信頼性低下などを招いています。

企業にとってはこのような状況下であっても、ネットワーク設計の見直しや増強を通じて、高いパフォーマンスの確保や信頼性向上が求められています。

2. コンテンツのリッチ化による影響

コンテンツやサービスの多様性・複雑性が増す中、コンテンツ提供側におけるキャパシティー確保が不十分だと、遅延やサービスダウンを引き起こす要因となります。

クラウドコンピューティングの課題への対応策

前述したような課題に対して、様々な対応策が採られており、新しい対策も検討されています。

1. CDNの活用

CDN (Contents Delivery Network)は、Webコンテンツの配信を最適化するための技術で、様々なWebサイトやサービスで使われています。

WebサイトのトラフィックをCDN事業者のサーバーが効率的に処理・肩代わりすることで、動画ストリーミングや高品質画像のようなリッチコンテンツでも、低遅延・高速な配信を実現します。

2. ネットワークの最適化

ネットワーク最適化は、クラウドコンピューティングの性能向上に直結します。

新たなアプローチとして、SDN (ソフトウェア定義ネットワーク)やワイヤレス技術の進化が挙げられます。SDNではネットワーク構成を柔軟に制御することで、トラフィックを最適化できます。また、ワイヤレス技術として5Gを採用することで、固定回線を敷設できない場所でも低遅延な通信が可能です。

3. エッジコンピューティングの活用

エッジコンピューティングは、クラウドから遠く離れた末端部分であるデバイスやセンサーなどといった「エッジ」でデータ処理を可能にする技術で、注目を集めています。

データ処理をエッジ側で即座におこなうことによって、遅延による影響を最小限に抑えることができます。例えば、自動車や工場のセンサーがデータをリアルタイムに処理することで、安全性や生産性を向上させることが期待されています。

エッジコンピューティングを利用するイメージ

クラウドコンピューティングにおいて今後想定される課題

クラウドの利活用は今後ますます進んでいくことが予想されますが、そのような流れに伴って、新たな課題も生じています。今後は、以下に挙げるようなポイントが課題として顕在化していくと考えられます。

これらへ先手で対処していくことにより、より安全かつ持続可能な形で、クラウドコンピューティングを効果的に活用できるようになるでしょう。

1. クラウドのセキュリティー強化

セキュリティー強化は、これまでもビジネスにおける重要課題として位置付けられてきましたが、これの重要性はクラウドコンピューティングにおいても同様です。

クラウド利活用の促進はネットワーク構成の変化を伴うことが多く、またサイバー攻撃の脅威は多様化・複雑化し続けていることから、セキュリティー対策についてもアップデートし続ける必要があります。

セキュリティー対策の適切なアップデートを疎かにしてしまうと、進化し続けるサイバー攻撃によるリスクが高まるだけでなく、ネットワークパフォーマンスや利便性が低下するなど、せっかくのクラウドによるメリットを享受しづらくなることとなります。

2. マルチクラウドへの対応

ビジネスにおいて単一のクラウドプロバイダーを利用することは稀で、ディザスターリカバリーや利便性向上の観点から、通常は複数のプロバイダーを併用したり連携したりします。利用するクラウドプロバイダーが増えるに従って、その多様性が仇となることから、効果的な管理が難しくなります。

a. 一元的な管理の複雑さ

複数のクラウドプロバイダーを利用する際、それぞれ異なるダッシュボードや管理ツールを使用することが一般的です。そのため、ポリシーなどの各種設定をそれぞれで個別に管理・維持する必要があり、効率的な管理手法の検討が必要となります。

b. セキュリティーの一元管理

先述のように、セキュリティー強化はクラウドコンピューティングにおいても重要です。しかし、セキュリティー対策のためのアプローチ方法などはプロバイダーごとに異なる場合が多く、そのことを踏まえてセキュリティーポリシーを確立する必要があります。

また認証プロセスについても統一することで、セキュリティー対策を図れるだけでなく、利便性を合わせて向上できるというメリットにも繋がります。

c. データの統合と移動

異なるクラウド環境間でデータを移動・統合することは、データ整合性やパフォーマンスの面で問題を生じることが少なくありません。利便性などを犠牲にすることなくデータの可搬性を確保するためには、プロバイダーを跨いだシームレスな連携の仕組みを構築することが重要です。

まとめ

企業のITインフラを変える「クラウドコンピューティング」は、効率化などの大きな可能性を秘める一方で、メリットを最大限享受するためには、様々な課題へも対処していく必要があります。

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