【ケーススタディ】実際にTMSで業務をどのくらい効率化できる?
現在ではほとんどの映画館で導入されているTMS(上映管理システム)に関して、このブログでも「TMSで業務を効率化できる」というお話しをしてきました。
実際のところでは、どれくらいの時間を節約できているのでしょうか?
この記事では、TMS導入による効率化度合いを、海外の事例から見ていきたいと思います。
アメリカのシネコンチェーンにおける導入事例 【抱えていた課題】
今回の事例対象である「Cinema West」は、アメリカの西海岸を中心に19サイトを運営する、全米トップ30に入る映画館チェーンです。
2022年に、Arts Alliance Media(AAM)が提供するTMSの導入を検討すべく、パラディオ16およびパラディオ・リュクスという2サイトの映画館でトライアルを実施しました。そして、その結果を踏まえて、全サイトへの導入を決めました。
TMSの導入前では、「プレイリストの構築から各劇場での転送、予告編パックの確認、キーの検索、インジェストに至るまでの一連作業で2〜3時間を費やしていた」と言います。
その他にもCinema Westでは、下記のような課題を抱えていました。
- 旧システムのソフトウェアパフォーマンスが悪く、運用に時間がかかる
- 画面構成が複雑で直感的な操作ができない
- 頻繁に上映トラブルが発生する
このままでは、デジタル化による効率的な運用どころか、上映自体に支障をきたすこととなりかねません。
そこで導入を検討されたのが、AAMのTMS「Screenwriter」でした。
導入前後の所要時間を比較してみると・・・
Cinema Westのマネージャーは、各サイトで基本的なコンテンツ管理ワークフローをおこなうのに、3時間ほどかかっていました。具体的には、プレイリストを作成し、個々のスクリーンへの転送、トレイラーパックの作成と確認、KDMを探してインジェスト、プレイリスト(SPL)の転送、スケジュールの作成などをおこなっていました。
これらのほとんどの作業が、Screenwriterの導入後では自動化されました。
すると、従業員がプレイリストの作成とスケジューリングに費やす時間が、大幅に削減されたのです。
Cinema Westのマネージャーが、組織全体で基本的なコンテンツ管理のワークフロー実行にかかった時間を、実際に測定したところ・・・
と、こんなにも大きな差に繋がりました。
「プレイリストの作成や各スクリーンへのコンテンツ転送、スケジュール作成に、以前では2~3時間ほどかかっていましたが、平均して週に20分程度にまで削減されました。またKDMについては、メールで受信し、自動的にスケジュールに取り込まれるため、99%の時間はKDMの心配をする必要がなくなりました。」
この時間の節約こそが、トライアル後にScreenwriterの全館導入を決めた大きな理由になったと言います。
手間と時間がかかるDCPのインジェスト作業からも解放!
また、Screenwriterを使うことで、DCPのインジェスト作業も自動化されました。
配信されたDCPを自動的にTMSにインジェストするフローがあり、手元のPCで何がインジェストされたかなどのステータスやDCPの詳細を確認することができます。
そして、KDMを簡単に管理できる機能は、まさに革命的でした。
自動KDMメール配信サービスを利用することで、Screenwriterが定期的に受信したKDMをチェックし、ステータスレポートを色分けしてくれるため、迅速かつ効果的な管理が実現しています。また、TMSに自動的にインジェストされたKDMは、各シアターの上映サーバに自動的に転送されるので、「KDMをインジェストする」という作業を人の手でおこなう必要もなくなりました。
その他の課題もScreenwriterで一挙に解決!
またCinema Westは、課題のひとつであった「システムの複雑な画面構成」についても言及しています。
「Screenwriterの導入は深夜に実施したのですが、翌朝に現場へ電話で説明しようとしたときには、すでに従業員が利用を始めていて、"もう転送の仕方もプレイリストの作り方もわかったよ"と返事がありました。Screenwriterのウェブベースのインターフェースは、とてもわかりやすいものでした。操作ごとに待たされることもなく、複数のウィンドウを開いても問題なく、一度にすべてを確認できました。」
そして、「上映トラブルの防止」についても効果を実感しているようです。
「Screenwriterに切り替える前は、エラーチェックが以前のソフトと違っていたため、多くの上映漏れが起こっていました。1週間に2つ、3つ、4つとコンテンツが消えてしまったことも・・・。Screenwriterでは、このようなトラブルを未然に防げるツールを備えていたため、上映漏れは無くなりました。」
必要な機能がどこにあるか?誰かがコンテンツを削除したのか?それとも再送信が必要なのか?・・・など、Screenwriterでは予期せぬ問題へも事前対処できる、さまざまなツールを備えています。
Cinema Westでは、TMSの問題で上映漏れが発生したことは、一度もないとのことです。
さいごに
「TMSを導入することで、作業が効率化できる」ということはよく言われていますが、このケースからも具体的にわかるように、TMSは映画館運営において劇的な効率化をもたらします。
Cinema Westの事例は、TMSがどれほどの時間と労力を節約し、どのようにして上映トラブルを減少させるかを示す、良い例と言えるでしょう。
ここで節約される時間や労力は本来、より良いサービスを生み出し提供するために使われるべきなのです。そして映画館は、お客さまに"最高の体験"を提供できるよう、常に変化し続けていく必要があるのではないでしょうか。
当社では、上記事例でもご紹介したArts Alliance Media社(AAM)のTMS「Screenwriter」を提供しています。
世界36か国・約44,000スクリーンに導入され、世界で最も利用されているTMSであり、年間数百万回もの上映を管理しています。また映画館の高度な自動化オプションや、デジタルシネマにおける最新のプロジェクター・テクノロジーにも対応しており、POSシステムとの連携も可能です。
映画館のシステム周りやデジタル運営でお困りのことがありましたら、ぜひご相談ください。
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本書では、世界中の約45,000スクリーンで導入・運用されているTMS「AAM Screenwriter」について、その主な機能と特長についてご説明します。
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上映素材を映画館までインターネット経由で配送するDCP配信サービスや、上映・興行管理システム(TMS:シアターマネジメントシステム)については、日本国内の50館以上へ導入され、映画館のデジタル運用を日々サポートしています。
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