SD-WANとインターネット 〜インターネットの仕組みについておさらい〜

データやアプリケーションを提供するネットワーク基盤は、大きくはパブリックな「インターネット」と「プライベートネットワーク」の2つのグループに分類されます。

SD-WANの導入を計画する場合、最終的には「インターネット」「プライベート」のどちらか、また、多くの場合は両方をアンダーレイとして使用することになるでしょう。非常に重要なことは、アプリケーションにおけるパフォーマンスの多くはアンダーレイに依存するということです。

この記事では、インターネットを企業ネットワークとして利用するにあたり、認識しておくべき仕組みや重要ポイントについて説明します。

インターネットの抱える問題点

様々なデータが行き交うインターネット

インターネットは、誰もが利用でき、安価で、広く普及しており、何十億ものデバイスやウェブサイトを収容している大規模なパブリックネットワークです。インターネットの手頃な価格は、帯域幅のコストを削減するための魅力的なオプションです。

1日のトラフィック量が約5エクサバイトにも及ぶインターネット上では、1秒間で次のようなことがおこなわれています。

インターネット上を60秒間に行き交うデータの量
データの出典:Visual Capitalist『What Happens in an Internet Minute in 2019?』

WANがどのように機能するかを理解するためには、データがインターネットをどのように流れるのかを理解する必要があります。

データはインターネットをどのように流れるのか

データのパケットは、電話網とローカルISPの機器(ファーストマイル)を通過する際に、ミドルマイルにルーティングされます。ミドルマイルは、ネットワーク・サービス・プロバイダー(NSP)と呼ばれる多くの大規模ネットワークで構成されており、互いに相互接続してパケットを交換します。

インターネット上を60秒間に行き交うデータの量
画像の出典:TeleGeography『Our 2018 Global Internet Map Gives the Web a Splash of Color』

NSPの機器とリンクは、ネットワークアクセスポイント(NAP)で結ばれており、パケットはNSPのバックボーンから別のバックボーンにジャンプして目的地に到達することができるようになっています。また、NSPは民間のメトロポリタンエリアエクスチェンジ(MAE)とピアリングしています。NAPもMAEも、ネットワークエクスチェンジポイントとして知られています。

インターネットを通じて送受信されるデータは、ISP を経由する必要があります。 ISPは、地域やローカルネットワーク(Tier 2 ISP)かもしれませんし、独自の大規模な全国、またはグローバルネットワーク(Tier 1 ISP)かもしれません。複数のISP(Tier 1とTier 2)間でデータが移動する際には、ピアリングが重要な問題になります。つまり、ISPとトランジットプロバイダー間の合意を考慮して、ISP間で何GBのトラフィックが交換できるかということです。

100 Mbpsのサービスを利用している顧客が1,000人いるとして、インターネット側には1ギガビットのトランジット契約しか結んでいないとします。この場合、各顧客が1Mbpsの通信を使用しただけであっても、輻輳とパケットロスにより、通信速度は必ず低下します。

企業ネットワークとしてインターネットを利用する際の重要なポイント

インターネットは、専用のプライベート回線で得られるようなリカバリー力、セキュリティ、信頼性を提供することはできません。混雑したミドルマイルは、信頼性の低い遅延の温床となり、エンドツーエンドのネットワーク性能は運と確率に委ねられてしまうことを、しっかりと理解しておきましょう。

ネットワークの遅延が、アプリケーションの性能に与える影響は、とても大きいです。ローカルネットワークでは良好に動作するリアルタイムアプリケーションも、ワイドエリアネットワークに展開した場合、距離が離れるにつれてパフォーマンスが低下します。インターネットでは、距離のパフォーマンスへ与える影響が非常に大きいことを、押さえておきましょう。距離が長くなると、キャリア間の相互接続が増え、伝搬遅延が大きくなり、ルーティング、スイッチング、キューイング、ビアリングが追加されます。遅延をゼロにすることはできませんが、上記の要因により、遅延の変動幅が大きくなります。遅延の予測不可能性と変動幅が大きくなると、リアルタイム・アプリケーションでは、パケットロスや性能劣化がより多く発生することになります。

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