SASEに関するよくある誤解5選 〜正しく理解する企業向けセキュリティー対策〜
セキュリティー強化が叫ばれる中で、多くの企業や組織が「SASE」のような新しいアプローチに注目しています。しかし、登場から日が浅いこともあり、正しい理解が広まっている状況とはまだまだ言い難いのが実情です。
この記事では、これから企業向けセキュリティー対策として注目される「SASE」について、よくある誤解を取り上げて説明していきます。
そもそもSASEとは何?
SASEは「サシー」「サッシー」と読み、米国ガートナー社が2019年より提唱しているプラットフォームのモデルです。
従来では切り離して捉えられることの多かった「ネットワーク機能」(WAN)と「ネットワークセキュリティー」を、単一サービス製品として提供するもので、企業への採用が広がってきています。
SASEに関する説明は別記事にまとめていますので、併せてご確認ください。
SASEに関する誤解5選
ここからは本題に入ります。よく耳にするSASEに関する誤解を5つピックアップして、それぞれがどう誤っているのか解説します。
誤解1. SASEは一過性かつ流行語にすぎない
SASEは、ネットワークやネットワークセキュリティーの市場では比較的新しい用語であることから、時が過ぎれば廃れる「流行語」にすぎないという憶測も、一部では囁かれているようです。
しかし、SASEは決して、一過性の流行によるものではありません。
むしろ、SASEはネットワークとセキュリティーの進化において重要な転換点を示しています。複数拠点で事業をおこなう形態に加えて、テレワーク(リモートワーク)とオフィスワーク(出社)が混在するハイブリッドワークにも適しており、これらのような勤務形態のトレンドが今後も持続する限り、SASEはより広がり浸透していくでしょう。
すでに多くの主要セキュリティーベンダーによって、SASEに基づく製品・サービスが展開されており、各社それぞれの強みを付加して発展・進化を続けています。
誤解2. SASEは大企業向けであって、中小企業にとっては不要
SASEは、企業や組織の規模に関わらず、多くの恩恵をもたらします。
大規模な拠点ネットワークを持つ大手企業やグローバル企業はもちろんのこと、中小企業においても、ネットワークのセキュリティーやパフォーマンスを向上させることは、共通の課題となっています。
SASEにおけるプラットフォームモデルの考え方では、セキュリティーやネットワークなどのシステム管理・運用にかかる工数を削減しながら、最大限のパフォーマンスを発揮します。そのため、管理・運用に多くの人員を割けないような中小企業にとっても、最善のソリューションなのです。
誤解3. SASEはテレワーク専用である
SASEは、企業組織のリソースへの安全なリモートアクセスを提供可能であることから、テレワークとの相性が良いことに間違いはありません。しかしそれだけではなく、オフィスワークにとっても、またオフィスワークとテレワークが混在するハイブリッドワークの環境とも、とても相性が良いのです。
SASEでは、オフィス内外・勤務場所などにとらわれることなくどの従業員・パートナーにも、画一的なセキュリティーとパフォーマンスの提供を、少ない管理工数で実現できます。これは、近年における多様なビジネス環境に適した特徴です。
誤解4. SASEはオンプレミス環境には対応できず、クラウド化が必須
確かにSASEでは、クラウドファーストを前提とした考え方を採用していますが、オンプレミス環境に対応できないというのは正しくありません。
いくつかのSASE対応ベンダーでは、オンプレミス環境が併存するネットワーク環境を前提としています。既存環境をうまく活用しつつも、クラウドの利点を享受しながらセキュリティー強化を図れるようになっています。
実際すでにSASEを導入している多くの企業においても、様々な事情によりクラウド移行できないオンプレミス環境が混在・併存していますが、これらの環境についてもシームレスに統合して管理するのが一般的となっています。
誤解5. SASEは複雑すぎるので、導入が難しい
一部の企業からは、統合するセキュリティー機能やネットワーク機能の数を考慮すると、導入が複雑すぎる・難しいという声も聞かれます。ただしこれは、従来のネットワーク・アーキテクチャーへ無意識のうちに固執していることが要因であることも珍しくなく、要件を再度整理することによって解消できる可能性があります。
SASEは本来、導入が難しいものではなく、むしろ導入から運用までのプロセスを簡素化できるように設計されています。ベンダーによって多少の差はありますが、簡素化できる要素として、次のようなものが挙げられます。
- クラウドベースの管理
- 自動化とセルフサービス
- スケーラビリティー・容易な拡張
- セキュアなリモートアクセス
導入時における要件整理にあたって時間・工数を要することはありますが、中長期的には、コスト削減や負荷低減、セキュリティー向上、生産性向上などといった多くのメリットをもたらします。
さいごに
SASEは、今後の企業や組織にとって不可欠なものとなっているにも関わらず、正しい理解が広がっていないゆえ、導入に高いハードルを感じたり「自社には関係ない」と捉える方も少なくないのが現実です。
セキュリティー強化や生産性向上などの効果を最大化するためにも、正しい知識をもとに適したソリューションを取り入れて、より安全に企業活動をおこなうための環境を整備していきましょう。
SASE(Secure Access Service Edge)とは何? 〜概要や生まれた背景を紹介〜
当社では、SASEやゼロトラスト、最適化されたSD-WANなどのソリューションを取り扱っており、多くの企業へこれらの導入をサポートしています。何かお困りのことなどありましたら、些細なことでもご遠慮なくご相談いただけますと幸いです。
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