ホテル・旅館にWi-Fi環境はなぜ必要?【導入・構築のメリットや注意点も】

スマートフォン利用が全世代に浸透し、ワーケーションのように新しい働き方も広がりをみせる中、ホテルや旅館などといった宿泊施設にとって、快適なWi-Fi環境の整備はもはや必須となっています。

この記事では、宿泊施設へのWi-Fi導入や改善についてご検討される方へ、Wi-Fi導入が必要となる理由に加え、メリットや対応方法などについて説明していきます。

ホテル滞在中にWi-Fiを利用するイメージ

ホテルのWi-Fi環境とは 〜おさらい〜

ホテルのWi-Fi環境とは、その名のとおり、ホテル・旅館などといった宿泊施設に設置・整備されたWi-Fi環境のことを指します。

ここで設置されるWi-Fi環境は、その目的に応じて大きく2種類あります。

その1:ゲスト(宿泊客)向けに開放されたWi-Fi

一般的に認識されているのは、ゲスト向けに用意されたWi-Fi環境で、「フリーWi-Fi」「公衆無線LAN」などと呼ばれているものと同義だと捉えて差し支えありません。

利用方法・接続先ネットワーク名(SSID)を客室内やロビーなどに掲示し、ゲストの滞在中に自由に使ってもらうケースがほとんどです。

その2:業務用のクローズドなWi-Fi

そしてもう一つ、業務用のWi-Fi環境も忘れてはなりません。

従業員向けの端末や、無線化された施設・客室内の機器類から利用するために整備し、ゲスト向けとは分離して整備するのが一般的です。

あえて分離する理由として、不特定多数が使用するゲスト向けネットワークと共用する場合では、不用意に帯域を消費される可能性があり、業務向けネットワークに影響を及ぼす懸念があるからです。

ホテルにとってWi-Fi環境の導入・構築が必要となる理由 〜もたらされるメリット〜

では、なぜWi-Fi環境の導入が必要となるのでしょうか。その理由について、主要なものについて説明していきます。

理由1:必須オプションとしての無料Wi-Fi

多くのゲストは、スマートフォンを通じてインターネット上のあらゆるサービスを利用していますが、これは滞在中も同様です。料理の写真をSNSへアップロードしたり、動画や音楽などの配信コンテンツを楽しんだり、翌日の観光地への行き先について調べたりなど、あらゆることでインターネットを利用します。

スマートフォン単体でも4G/5Gのセルラー回線を通じて、これらのサービスは利用できます。しかし、サービス利用に必要なデータ通信量は増加の一途を辿っており、データ通信容量の消費によって「ギガが減る」ことを避けるため、ゲストはホテルのWi-Fi環境を頼ろうとします。

また、記事冒頭で触れたようなワーケーションの広がりを受けて、ゲストが宿泊滞在中にパソコンを開いて仕事をすることも珍しくありません。ワーケーションとは、ワーク(労働)+バケーション(休暇)を組み合わせた新しい働き方のことを指しますが、これの実施に当たっては、高速かつ安定したWi-Fi環境が必須です。

ワーケーション中にパソコンでWi-Fiを利用するイメージ

多くのゲストがWi-Fi環境を必須オプションとして捉えていることは、多くのホテル予約サイトにおいて、絞り込みの検索条件として「無料Wi-Fi」が用意されていることにもあらわれています。ビジネスホテルに限らず観光ホテルや旅館であっても、Wi-Fi環境を整備していない施設は、候補を見つける前の段階で、早々に弾かれてしまうのです。

逆に、高速で安定したWi-Fi環境を導入・構築して、そのことをアピールすることによって、旅行・観光だけではなくワーケーションによる新たな需要を取り込むチャンスでもあります。

理由2:業務効率の向上

人手不足・人件費高騰などの要因もあり、各業界で「働き方改革」や「生産性向上」が声高に叫ばれていますが、これはホテル・宿泊業界でも同じです。

例えば、ルームサービスを品質向上しつつ省力化するために、各客室に専用のタブレット端末を設置するような試みもありますが、これらの実現にはWi-Fi環境を必要とするケースが多々あります。

また、巡回もしくは接客サービスする従業員に業務端末を持ち歩かせるような際にも、同様にWi-Fi環境が必要となります。

ホテル滞在中にWi-Fiを利用するイメージ

なお、業務用途でも支障のない安定性・セキュリティーを確保するために、ゲスト向け(無料Wi-Fi)とは別に設計・構築することが一般的です。

ゲスト向けだけではなく、業務用途のWi-Fi環境も適切に導入・構築することで、上述したようなソリューションについても適切に運用できるようになり、より確実な業務効率化の恩恵に繋がります。

ホテルにWi-Fi環境を導入・構築する際に確認すべき注意点

ここまで、ホテル・旅館などの宿泊施設にとってWi-Fiが必要となる背景やメリットについてご説明しましたが、「Wi-Fiであれば何でも良い...」ということはありません。注意すべきポイントについて、代表的なものをご紹介します。

注意点1:Wi-Fiが施設内のどこでもつながるか、適切に構築できているか

施設内・建物内の、最低でも人が行き来する場所では、どこでもWi-Fiを使えるようにする必要があります。使える場所が限られたり、接続できてもまともに通信できなかったりするようなケースでは、顧客満足度の低下に直結します。

「どこでもつながる」「まともに使える」の実現には、適切な構築が肝心です。施設環境や利用状況などに応じて、適切な機器を適切に設置する必要があります。

家電量販店の店頭に並んでいるようなコンシューマー向け(家庭用)のWi-Fiルーターを数台そのまま設置するようなケースが、特に小規模な施設において散見されますが、これは誤った構築方法です。コンシューマー向けは主に、一般家庭において単独使用することを想定して設計されているので、不特定多数のゲストに開放したり業務用途で使用したりするには、様々な面で問題を起こします。

プロ向け(業務用)の製品を、想定される利用人数や施設規模・環境などに応じて、適切な台数をうまく組み合わせることで初めて、ニーズへしっかり応えられる「適切な構築」となるのです。

注意点2:セキュリティーは考慮できているか

ホテルWi-Fiは、不特定多数のゲストが使用したり業務用途で使用したりすることを踏まえると、セキュリティー面での考慮も重要となります。

例えばWi-Fiには、経由する通信を暗号化する仕組みとして「セキュリティープロトコル」が採用されていますが、これの古いバージョンや暗号化なし(パスワードなし)にしか対応しない場合には、利用者を危険に晒すことになってしまいます。

また、ゲスト向けと業務向けのWi-Fiについて、ネットワーク的に分離するよう設計されている必要があります。分離されていない場合には、悪意のあるゲストが施設内の業務端末に、Wi-Fi経由で不正アクセスする可能性もあります。設計の段階から、そのようなアクセス経路が作られないように考慮する必要があります。

注意点3:Wi-Fi導入後の運用・メンテナンスはできているか

ホテルWi-Fiは、導入・構築するだけで終わりではありません。その後も適切に運用・メンテナンスされている必要があります。

例えば、Wi-Fi機器も家電製品などと同様に寿命があり、突然壊れることがあります。そのようなときに復旧できる体制がないと、ワーケーションが実施できないなど不便を強いることになり、顧客満足度の低下へと繋がります。業務用途でも使用している場合には、当然ながら業務への悪影響も避けられないですし、顧客サービスの悪化へと直結するでしょう。

そして、IT機器は技術進歩が著しく、Wi-Fiを含むネットワーク機器類も例外ではありません。世代交代やバージョンアップによる陳腐化も起こりやすく、古い世代のWi-Fi機器は、セキュリティー上の問題から使用が推奨されません。2013年より前に設置されたままのWi-Fi機器は、現在主流である「Wi-Fi 6」と比べて少なくとも2世代前のものなので、速度面とセキュリティー面からも置き換えるべきです。

加えて、ハード面だけでなくサポート面も重要です。多くのホテルや旅館などでは、幅広い年齢層のゲストが宿泊滞在します。デジタルネイティブである若い世代であれば、SSIDとパスワードさえ掲示しておけば、無料Wi-Fiをすんなり使ってもらえるでしょう。しかし、シニア層をはじめITに不慣れな世代は、利用にあたって助けを必要とするケースが珍しくありません。そのようなときに、フロントではなく専門のWi-Fiサポート窓口があれば、ホテル本来の業務を圧迫せずに済みます。

注意点4:Wi-Fiを無料開放しているか

いまだにゲスト向けWi-Fiを無料開放せずに有料オプション化している場合、すぐに見直すべきです。

Wi-Fiの黎明期には、確かに有料オプションとして提供するケースが多々ありましたが、今では滅多にありません。ホテルWi-Fiは国際的にも「無料であって当然」と認識されており、かつて有料オプションであった客室テレビや冷蔵庫が無料開放されているように、Wi-Fiについても追加料金を取るべきではありません。

時代の潮流に逆行する有料化は、オプション費用による収益化というメリットをもたらさないだけでなく、かえって「ケチくさい」という印象を与えるデメリットだけになってしまいます。ゲスト向けWi-Fiは無料開放して、標準装備の充実化に舵を切りましょう。

ホテルに快適なWi-Fi環境を導入・構築するにはどうしたら良いか

この記事を見ていただいているのは、ホテル・旅館などのWi-Fiについて「改善すべき点がないか」を検討されているゆえかと思います。

Wi-Fiは、家電量販店などで多くのコンシューマー向け製品が売られていることから「誰でも簡単に設置できる」ものと誤解されやすいですが、実は極めて専門的なものです。ホテルや旅館などの宿泊施設は一般家庭と違って、複雑で広くて規模が大きく、不特定多数の利用者が入れ替わり利用します。このような施設環境では、専用の計測機器を用いた電波測定をおこない、電波の伝搬状況を判断しながら、Wi-Fi機器の種類や台数、設置場所などを慎重に選定・決定する必要があります。

まずは、Wi-Fiを専門的に取り扱う事業者へ相談してみるのが良いでしょう。電気工事の事業者でも、オプションのような扱いでWi-Fi工事をおこなうケースがありますが、専門的知識やノウハウを持ち合わせていないことも珍しくありません。

相談先がわからない場合や、設置した事業者が相談に乗ってくれないような場合には、当社でも無料でご相談を承っています。ホテルWi-Fi専門チームが、現在の状況などをヒアリングさせていただき、ご要望によって「快適なWi-Fiを提供できているか現状把握したい」「このエリアだけ改善したい」のようなニーズへも柔軟にお応えできます。

さいごに

ホテルや旅館などの宿泊施設にとってWi-Fi環境は、当たり前かつ必須のものとなっています。

ご不明点や気になる点などありましたら、どんなに些細なことでも問題ありませんので、お問合せフォームよりご相談いただけましたら幸いです。

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当社では20年以上にわたってWi-Fiサービスを提供しており、10万室以上のホテル客室への導入実績を有しています。
Wi-Fiのプロとして、その構築や運用を強力にサポートしています。

Wi-Fi環境の導入のご検討や、お困りのことがありましたら、ぜひご相談・お問い合わせください。

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