オフィス・事務所にWi-Fiを導入するメリットと注意点 〜スマートオフィス構築にも〜

ハイブリッドワーク(テレワーク&出社)や働き方改革などの高まりを受けて、オフィスや事務所におけるネットワーク構築のあり方も大きく変わっています。

この記事では、オフィスや事務所にWi-Fiを導入するメリットや、その注意点について説明していきます。

オフィス・事務所のWi-Fi環境とは 〜おさらい〜

オフィス・事務所のWi-Fi環境とは、その名が示すように、オフィスや事務所などのような企業の事業拠点(事業所)内に設置・整備されたWi-Fi環境のことを指します。

このような施設内に設置されるWi-Fi環境は、その目的に応じて大きく2種類あります。

その1:業務用のクローズドなWi-Fi

一般的にオフィス・事務所のWi-Fi環境といえば、社内の業務用に用いるものを指します。

有線LANで構築される社内ネットワークの一部を無線化することで、LAN(Ethernet)ポートの設置箇所に関わらず、社内のどこからでも業務をおこなえるようにするものです。

関係者以外からはアクセスさせないように設計するのが一般的で、暗号化や認証による制限をかけたりSSID(ネットワーク名)を隠匿したりなどといった対策をおこなうケースが多いです。

その2:来客者向けのオープンなWi-Fi

業務用に併せて導入されることの多いのが、来客者向けのオープンなWi-Fiです。

利用方法・接続先ネットワーク名(SSID)を会議室内・エントランスなどへ掲示し、打ち合わせ中などに自由に接続してもらうケースがほとんどです。

自社の社員による接続は想定せず、業務用とは分離して整備するのが一般的です。

オフィス・事務所へのWi-Fi環境の導入・構築によるメリット

オフィス・事務所へ快適なWi-Fi環境の導入することは、様々なメリットをもたらします。主要なものについて説明していきます。

メリット1:スマートオフィスの実現

IoTやAIなどの技術を活用するスマートオフィスの実現にあたって、Wi-Fiの活用は欠かせません。

スマートオフィスを実現するための要素は多数ありますが、その多くにおいてネットワーク接続を使用します。フリーアドレスを導入する際にも、人感センサーを用いて空間環境(明るさ、温度、湿度など)を管理・自動調整する際にも、ネットワーク接続を使用します。

Wi-Fiを整備することで、スマートオフィスに必要なネットワーク接続を無線化することができ、美観を損ねずにLAN配線を効率化できます。もちろん、レイアウト変更などをおこなう際の自由度・柔軟性も高まります。

メリット2:生産性の向上

快適に使用できるWi-Fi環境の導入は、生産性向上においても大きな役割を果たします。

オフィス内においてパソコンの使用できる場所が縛られなくなるので、フリーアドレスが導入されていない場合でも、より働きやすい環境を実現できます。例えば、気分転換のためにフリースペースなどへ移動して業務や作業を続けることも可能となりますし、会議以外の場でも打ち合わせがおこないやすくなるなど、社内コミュニケーションの活発化も図れます。

また、有線LANを前提としたネットワーク環境で業務利用できる機器は、パソコンのようにLANポートを搭載するものに限られます。一方でWi-Fi環境が導入されていると、タブレットやスマートフォンからも容易にネットワーク接続できるので、業務内容に応じて活用できる機器の幅が広がります。

もちろん、前述したようなWi-Fiを活用したスマートオフィスも、生産性の向上に大きく寄与するでしょう。

メリット3:来客者の利便性向上

来客者向けのWi-Fi環境の整備は、直接的に来客者の利便性を向上します。それは実質的に「来客者を大事にしている」姿勢を示すことになり、ひいては企業のイメージアップにも繋がります。もちろんそれだけでなく、来訪者との打ち合わせの効率を高めて円滑化できるという意味合いでは、自社の社員にとってもメリットをもたらします。

昨今では、外出・客先訪問などの際にノート型パソコンを持ち歩き、打ち合わせ時などに使用することも当たり前となっています。そして、クラウド利用が浸透していることから、業務にインターネット接続を要することも珍しくありません。

このような状況を受けて、スマートフォンのテザリング機能などを使って、4G/5Gのセルラー回線経由でインターネット接続するケースも多くなっています。しかし、ビル内ではセルラー回線の電波状況が良くないことも多く、快適なWi-Fi環境を使える方が理想的です。

オフィス・事務所へWi-Fi環境を導入・構築する際に確認すべき注意点

ここまでメリットについてご説明しましたが、ただWi-Fiルーターを設置すればいいという単純なものではありません。注意すべきポイントについて、代表的なものをご紹介します。

注意点1:Wi-Fiを必要とするエリアのどこでもつながるか、適切に構築できているか

特に業務用途の場合には、業務をおこなう可能性のあるエリア内のどこからでもWi-Fiを使えるようにする必要があります。使える場所が限られたり、接続できても安定しなかったりするようなケースでは、業務に支障をきたします。来訪者向けについても、来客用の会議室などで使えないと、意味がありません。

「どこでもつながる」「ちゃんと使える」の実現には、適切な構築が肝心です。想定される利用人数や施設規模・環境などに応じて、プロ向け(業務用)の適切な機器を、適切に設置する必要があります。

なお、小規模なオフィスでは、家電量販店の店頭に並んでいるようなコンシューマー向け(家庭用)のWi-Fiルーターを数台そのまま設置するようなケースが散見されますが、これは構築方法としては誤りです。コンシューマー向け製品の設計は、一般家庭で単独使用されることを想定しており、一つの空間に複数台導入すると、様々な面で問題を起こします。

注意点2:セキュリティーは考慮できているか

オフィス・事務所向けのWi-Fiは、自社の社員による業務使用に加えて、不特定多数の来訪者が使用することを踏まえると、セキュリティー面での考慮も重要となります。

例えばWi-Fiには、経由する通信を暗号化する仕組みとして「セキュリティープロトコル」が採用されていますが、これの古いバージョンや暗号化なし(パスワードなし)にしか対応しない場合には、利用者を危険に晒すことになってしまいます。

また、冒頭での概要説明でも少し触れましたが、業務向けと来訪者向けのWi-Fiについて、ネットワーク的に分離するよう設計されていることも必須です。業務においては個人情報や機密情報を扱うこともしばしばあり、不正アクセスできてしまう経路をWi-Fi経由に作ってはなりません。

注意点3:電波の使用チャンネル・干渉は考慮できているか

Wi-Fiを設置するには、それぞれのアクセスポイントで使用するチャンネル(周波数帯)や、外来波(外部から漏れてくる無線電波)などにも細かな配慮が必要です。

Wi-Fi向けとして使用できる電波の周波数帯は限られており、利用状況などを踏まえながら、それぞれの用途別へ適切に割り当てる必要があるのです。

注意点4:Wi-Fi導入後の運用・メンテナンスはできているか

オフィス・事務所のWi-Fiは、導入・構築してお終いではありません。その後も適切に運用・メンテナンスし続ける必要があります。

Wi-Fi機器も家電製品などと同様に寿命があり、突然壊れることがあります。そのようなときに復旧できる体制がないと、業務への悪影響も避けられないですし、業務に多大な支障をきたすこととなります。

そして、Wi-Fiを含むネットワーク機器類IT機器は技術進歩が著しく、世代交代やバージョンアップによる陳腐化も起こりやすいです。特に2013年より前に設置されたままのWi-Fi機器は、現在主流である「Wi-Fi 6」と比べて少なくとも2世代前のものなので、速度面や特にセキュリティー面から推奨されず、早期に置き換えるべきです。

オフィス・事務所に快適なWi-Fi環境を導入・構築するにはどうしたら良いか

この記事を見ていただいているのは、オフィス・事務所などのWi-Fiについて「改善すべき点がないか」「どのように導入するべきか」という課題をお持ちゆえかと思います。

Wi-Fiは、家電量販店などで多くのコンシューマー向け製品が売られていることから「誰でも簡単に設置できる」ものと誤解されやすいですが、実は極めて専門的なものです。オフィスや事務所は一般家庭と違い、Wi-Fiサービスの停止は業務に支障をきたし、それはつまり損害に直結します。このような施設環境では、専用の計測機器を用いた電波測定をおこない、電波の伝搬状況を判断しながら、Wi-Fi機器の種類や台数、設置場所などを慎重に選定・決定する必要があります。

まずは、Wi-Fiを専門的に取り扱う事業者へ相談してみるのが良いでしょう。電気工事の事業者でも、数あるオプションの一つとしてWi-Fi工事への対応を謳うケースがありますが、専門的知識やノウハウを持ち合わせていないことも珍しくありません。

相談先がわからない場合や、設置した事業者が相談に乗ってくれないような場合には、当社のWi-Fi専門チームでも無料でご相談を承っています。現在の状況などをヒアリングさせていただき、ご要望によって「Wi-Fiの品質に問題ないか現状把握したい」「このエリアだけ改善したい」のようなニーズへも柔軟にお応えできます。

さいごに

他の様々な施設と同様に、オフィスや事務所などの事業拠点にとってもWi-Fi環境は、当たり前かつ必須のものとなっています。そして、働き方改革やハイブリッドワークなどの浸透で、Wi-Fi環境の重要性は以前にも増して高まっています。

ご不明点や気になる点などありましたら、どんなに些細なことでも問題ありませんので、お問合せフォームよりご相談いただけましたら幸いです。

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