スマートTV向けアプリにおけるDRM対応の概要と重要性

前回の記事では、近年注目されるAndroid TV(Google TV)に向けてアプリ開発をおこなう際の、注意点などについてお伝えしました。

この記事では、DRMに関して最低限押さえておくべき概要とともに、Android TVなどのスマートテレビ向けにDRM対応する必要性、導入にあたっての手順についてご説明します。

DRMとは何か

DRMとは「Digital Rights Management」(デジタル著作権管理)の略称で、デジタルコンテンツの利用を制御する技術です。アクセス制御やコピーガードなどを通じて、コンテンツの不正コピーや無許可の使用を防ぐことができます。

DRMは、提供者とユーザー(視聴者)のそれぞれにメリットをもたらします。

  • 提供者側: 安心してコンテンツを提供・配信できる
  • ユーザー側: 正規手段で安全にコンテンツを楽しめる
DRM技術を用いて配信された映像をスマホで楽しむイメージ

代表的なDRM技術と、どれを採用すべきか

主要なものとして、次のようなものが挙げられます。

  • Widevine (Google)
  • FairPlay (Apple)
  • PlayReady (Microsoft)

これらのDRM技術は、それぞれ異なるプラットフォームやデバイスでのコンテンツ保護をサポートし、各社のエコシステム内でのシームレスな体験を提供します。

Widevineは、Android OSとChromeブラウザーに対応し、幅広いデバイスで利用可能です。そしてFairPlayは、Appleのエコシステム内で強力に機能し、主にmacOS(Mac)やiOS(iPhone)、tvOS(Apple TV)、iTunesなどでの利用がサポートされます。PlayReadyは、Microsoft WindowsやXboxなどで採用されています。

このように、それぞれの技術のサポート対象には偏りがあります。そのため採用すべきDRM技術は、提供コンテンツの種類やターゲットとするユーザー層などに応じて選択する必要があります。昨今では、複数のDRM技術を採用し組み合わせることで、多くのユーザー・デバイスをサポートすることが一般的です。

DRMが求められる背景とコンテンツ保護の潮流

近年における動画コンテンツのデジタル化に伴い、コンテンツ提供側にとっては、コンテンツの不正利用や海賊行為を防ぐことが重要な課題となっています。特に、ストリーミングサービスやオンラインダウンロードが一般的になるにつれ、不正コピーのリスクも上昇し続けています。

このような状況に対して、コンテンツ利用を提供者側において制御し、適切なライセンス範囲内でのユーザーへの提供を実現する技術的な手段として、DRMの重要性が高まっているのです。

スマートテレビでにおけるDRMの重要性

Android TV/Google TVのようなスマートテレビは、すでに多くの動画ストリーミングサービス・オンデマンド動画などのアプリが提供されていることからもわかるように、コンテンツを提供する各社にとって重要な市場として位置付けられています。

そして、提供されるコンテンツも高画質(フルHDや4K)・高価値なものが多く、適切なコンテンツ保護が欠かせないことから、DRMの重要性もとても高いと言えます。

また、著作権保護だけに留まらず、視聴可能な国・地域を限定したり期間を定めたりなど、ビジネス戦略の多様化を実現するためにもDRMは必須だと言えるでしょう。

スマートテレビ向けにDRMを導入するための手順

スマートテレビ向けのアプリにDRMを導入する際の、基本的な手順をご説明します。

1. DRMの選定とアプリへの統合

まずは、採用するDRM技術を選定します。多くの場合、DRMのプロバイダーがSDKやライブラリーを提供しているので、それらをアプリに統合します。

2. サーバーの設定とコンテンツ暗号化

ライセンスキーを発行・管理するための、ライセンスサーバーを設定します。そして、DRMプロバイダーの提供するツールを用いて、コンテンツについても暗号化します。

これにより、アプリ側からコンテンツを利用・再生する際には、ライセンスサーバーから取得するキー情報をもとに、暗号化されたコンテンツが復号化されます。このプロセスには、ユーザー認証やデバイス認証も含まれるので、第三者による不正アクセスも防げます。

3. テストと最適化

DRMの導入後、アプリが意図したとおりに動作しているかをテストします。サポート対象のデバイスで適切に再生できるかは、特に確認する必要があります。

また導入後には、モニタリングやユーザーからのフィードバック収集などを通じて、必要に応じた改善を適時おこないます。

さいごに

スマートテレビ向けアプリにおいてDRM技術への対応は、コンテンツ保護やビジネス戦略・収益化の観点から、もはや不可欠です。アプリ開発において適切な技術を取り入れることで、投資の効果を最大化しましょう。

当社ではアプリケーションの受託開発を承っており、これまで多くのお客様に対して、アプリケーションの開発やリリース、その後の運用をお手伝いしています。

DRM技術の導入に関しても、包括的なサポートが可能です。

  • 最適なDRM技術・ベンダーの選定
  • 技術導入に必要なプロセスの開発支援
  • SDKやライブラリーのインテグレーション
  • ライセンスサーバーの設定
  • コンテンツの暗号化やプロセスの自動化

お困りの方は、お気軽にご相談ください。専門知識と経験を持つスタッフが、親切丁寧に最適なご提案をいたします。

また当社では、Android TV/Google TV向けに特化した開発に対応できる体制を整えています。DRMに限らず、アプリ開発に関して何かお困りのことなどありましたら、些細なことでもご遠慮なくご相談ください。

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ブロードメディアでは、これまでの開発実績を活かして、スマートテレビ向けに特化したアプリケーション開発の受託を承っています。

配信技術などを組み合わせたソリューション型としての活用もご提案可能ですので、ご検討や、お困りのことがありましたら、ぜひご相談・お問い合わせください。

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