リリース直前のビルド転送、FTPで続けますか? ~ゲーム開発の大容量データ転送を見直す判断基準~

ゲーム開発の終盤工程では、「ファイルを期限内に、確実に届けること」そのものがプロジェクトの成否を左右します。特に開発規模が大きくなるほど、1回の転送エラーがそのまま1日の遅延につながることも珍しくありません。

それでも多くの現場では、長年使ってきたFTPやDropboxをそのまま使い続けているケースが見られます。「今までは届いている」「大きな問題にはなっていない」──そう感じている間にも、データ量だけは確実に増え続けているのが現在のゲーム開発環境です。

この記事では、ゲーム開発における大容量データ転送で起きる様々な問題点を整理し、改善へ向けたいくつかの判断基準を提示します。

「FTPで困ったことはない」が崩れる瞬間とは?

コンソールの高性能化、4K対応テクスチャー、多言語ボイスデータの追加──これらが重なれば、1つのビルドが数十GBを超えることは珍しくありません。ゲームのデータ量は年々増え続けており、それ自体は仕方のないことです。

問題は、データが重くなった一方で、送る手段がFTPやDropboxのままというケースが多いことです。

たとえば、こういった場面に心当たりはないでしょうか。

  • パブリッシャーへ審査用ビルドを送ったが、転送エラーで最初からやり直しになった
  • 海外の外注スタジオにアセットを送るのに半日かかった
  • 転送中にファイルが破損し、原因の特定に時間を取られた
  • 容量オーバーで送れず、結局HDD輸送に切り替えた

1回であれば「まあ仕方ない」で済みます。ただ、こうした転送トラブルが重なると、プロジェクトのバッファは静かに削られていきます。スケジュール管理ができていても、「ファイルが届かない」という問題だけはどんな調整でも補えません。

FTPや汎用ツールが「今のゲーム規模」に追いつかない理由

FTPは1990年代に普及したプロトコルで、数十GBのデータを定期的に転送する用途は想定されていません。

速度と安定性

FTPはネットワーク帯域を効率よく使えない構造になっています。長距離通信では遅延やパケットロスの影響を受けやすく、海外拠点との転送では実測速度が理論値の数分の1になることも珍しくありません。転送が途中で切れた場合、安定した自動再開運用が難しいケースもあります。

セキュリティー

未発売タイトルのビルドデータは、最も機密性の高いコンテンツのひとつです。FTPは通信の暗号化がデフォルトではなく、知的財産や未公開データの漏洩リスクを十分に抑えられません。Dropboxのような汎用クラウドストレージサービスも、エンタープライズ要件としてのセキュリティーは別途検討が必要です。

管理コスト

複数のプロジェクトが並行する状況では、誰がいつ何を送ったかを把握するだけで手間がかかります。転送ログの管理、受信確認、バージョンの整合──これらをFTPで担うには、別の仕組みを用意するしかありません。FTPは「技術的には無料」でも、メンテナンスコストは決して小さくありません。

技術的には無料でも、運用コストとリスクは年々大きくなります。ただ、工夫で乗り越えられる範囲を超えていても「代替手段が何かわからない」「コストがかかりそう」という理由で、同じツールを使い続けているケースが多いのが実態です。

転送手段を見直す際に確認しておきたい3つの判断軸

ファイル転送の見直しを検討する際、以下の3点を軸にするとシンプルに整理できます。

1. 未発売コンテンツを安全に扱えるか

  • 通信が暗号化されているか
  • データがどのサーバーに置かれているか(クラウドか、自社管理か)

2. 大容量・長距離転送でも安定しているか

  • 長距離通信で速度が極端に落ちないか
  • 転送が途中で止まっても自動で再開できるか(レジューム機能)

3. 受信側(外部スタジオ・パブリッシャー)に負担をかけないか

  • 専用ソフトのインストールなしで受け取れるか

この3点で既存の手段を評価すると、FTPはセキュリティーと安定性で、Dropboxはエンタープライズセキュリティーで、HDDはリモート対応でそれぞれ課題が残ります。

その判断軸で見る大容量ファイル配信サービス「ストーク」

上記の判断基準で整理すると、選択肢のひとつとして浮かび上がるのが、ブロードメディアの大容量ファイル配信サービス「ストーク(Broadmedia CDN ストーク)」です。

ストークは、米国Signiant社のMedia Shuttleテクノロジーを採用したマネージド・ファイル転送(MFT)サービスで、世界中の制作現場で使われている実績があり、大容量データのやり取りを前提とした設計になっています。

3つの判断軸から見るストークの特徴

判断軸 ストークの対応
未発売コンテンツの安全性 AES256暗号化に標準対応。データは自社管理のサーバー・ストレージに保存されるため、第三者のサーバーに機密ファイルを置く必要がありません。
大容量・長距離転送の安定性 特許技術によりネットワーク帯域を最大限に活用した高速転送を実現。転送が中断しても自動再開するレジューム機能を備えており、「送ったはずなのに届いていない」を防ぎます。
受信側の負担 受信側はブラウザから受け取れます。外部の開発スタジオやパブリッシャーに専用ソフトのインストールを依頼する必要はありません。

ゲーム開発での具体的な活用シーン

シーン 詳細
パブリッシャーへの審査用ビルド送付 期日厳守で届けなければならない数十GBのデータを、転送エラーなく確実に送れます。レジューム機能で中断後も自動再開します。
外注・海外スタジオとのアセット受け渡し 3Dモデル、テクスチャー、アニメーションデータなどを国内外の制作会社と高速・セキュアにやり取りできます。
ゲームトレーラー・販促映像のマスター共有 発売前のトレーラー映像をProRes等の高品質フォーマットのまま、暗号化した状態でパブリッシャーや広告代理店へ届けられます。

まとめ:トラブルが起きる前に、転送環境の確認を

転送インフラを見直すタイミングは、トラブルが起きた後ではなく、スケジュールに余裕があるうちです。「FTPで困ったことはない」という現場でも、開発規模が大きくなれば1回のエラーが与えるダメージも大きくなります。今の転送手段が本当に今の開発規模に合っているか──3つの判断軸を使って、一度確認してみてはいかがでしょうか。

もし現在の転送方法に少しでも不安がある場合は、以下よりお気軽にお問い合わせください。

ゲーム開発や外部スタジオ連携など、実際の運用を前提にした形で「どこにリスクがあるか」「どの部分を改善できるか」、また開発フローに合わせた活用の考え方についてもご相談いただけます。

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