映画館の上映管理、もっと効率化できる?〜運用を変える機能と自動化の未来〜

映画館の上映管理に欠かせないTMS(シアターマネジメントシステム)。近年では多くの映画館が導入しています。日々の上映スケジュール作成やコンテンツの取り込みに、当たり前のように使われていることでしょう。

これは、スクリーン数の多いシネコンに限った話ではありません。スクリーンが1つでも、上映のたびにプレイリストを組み、素材を取り込む作業は発生します。むしろ、限られた人数で運営している映画館ほど、一つひとつの作業を減らせる効果は大きくなります。

ただ、こんなことはないでしょうか。

  • 「導入したときのままの使い方を続けている」
  • 「基本の操作は使うけれど、それ以外の機能はよく分からない」

実はTMSは、この数年で大きく進化しており、かつては手作業でこなしていた業務や、そもそもできなかったことが、今では自動でできることがあります。

この記事では、当社が取り扱うTMS「ScreenWriter」を例に、「昔はこうだった」と「今はここまでできる」を比べながら、いま使えるようになっている便利な機能をご紹介します。さらに、海外の映画館ではすでに標準になりつつある、その先の自動化の姿にも触れていきます。今の運用を効率化するヒントとして、また、これから目指せる到達点を知る手がかりとして、お読みいただければ幸いです。

TMSの使い方、導入当時のままになっていませんか?「基本操作しか使っていない」は、もったいない

TMSを導入したときは、まず上映を止めないことが最優先でした。スケジュールを組み、コンテンツを取り込み、プレイリストを作る――この基本的な操作を覚えることが第一で、それ以外の機能まで手が回らなかったのは自然なことです。

しかし、その後もTMSは継続的にアップデートされ、導入当時にはなかった機能や、手作業でおこなっていた業務の自動化機能も追加されています。特に、はじめはあまり使われていなかったものの、近年になって多くの映画館で活用されるようになってきた機能があります。それが「パック機能」と「チケットシステムとの連携」です。

機能1:パック機能でプレイリスト作成を効率化

昔:本編・予告編・シネアドの登録を、毎回ひとつずつおこなっていた

上映のプレイリスト(SPL)は、本編・予告編・シネアド(広告)を組み合わせて作ります。以前は、これらを作品が変わるたびに一つずつ登録していく必要がありました。特に予告編や広告は本数が多く、毎回の登録と確認に手間がかかり、組み間違いのリスクもありました。

今:「パック」にすることで、一度に登録できる

パック機能を使えば、複数のコンテンツ(たとえば、ある時期に流す予告編と広告のセット)をあらかじめ一つの「パック」としてまとめておけます。プレイリストを作るときは、そのパックを指定するだけで、まとめて登録が完了します。毎回ひとつずつ登録する手間がなくなり、内容の差し替えもパック単位でできるようになります。

運用面の変化:スケジュール作成が「特定の人の作業」でなくなる

パック機能の効果は、時短だけではありません。これまで予告編や広告の組み合わせは、慣れたスタッフが記憶や経験に頼って組んでいた面がありました。パックとしてルール化しておけば、誰が作業しても同じ内容のプレイリストを作れます。つまり、スケジュール作成が特定の担当者に依存しなくなり、作業の属人化が解消されていきます。担当者が不在でも、他のスタッフが同じ品質で対応できるようになるのは、運用面での大きな変化です。

パック機能については別ブログにて詳しく解説しております。どうぞご覧ください。

機能2:チケットシステムとの連携で入力作業を削減

もう一つ、活用が広がっているのが、TMSとチケットシステム(チケットの予約・販売を管理するシステム)の連携です。実は、TMSとチケットシステムには共通して扱っている情報があります。たとえば「作品名」や「上映の時間割(タイムスケジュール)」は、TMSでも扱いますし、チケットカウンター上部のモニターやサイネージにも表示される、チケットシステム側の情報でもあります。

昔:同じ情報を、それぞれのシステムに何度も入力

以前は、現場のスタッフがチケットシステムとTMSに、それぞれ必要な情報を入力していました。同じ作品名やタイムスケジュールを複数のシステムに何度も入力する作業は、時間を奪うだけでなく、入力ミスの原因にもなっていました。

今:システム連携で、入力の二度手間・三度手間をなくす

システム連携によって、チケットシステム側の上映情報をTMSに取り込めるため、同じ情報を入力し直す手間を削減できます。TMSとチケットシステムを連携させると、チケットシステムから上映情報(作品名・スケジュール・スクリーン番号など)を取り込むことでTMS側のスケジュール作成を効率化できます。

さらに、チケットが売れていない上映回については、プロジェクターのランプを自動でオフにするといったことも可能です。

運用面の変化:「入力する運用」から「確認する運用」へ

チケットシステムとの連携がもたらす運用面の変化は、スタッフの仕事の性質が変わることです。これまでは「同じ情報を各システムに入力する」ことが日々の業務でしたが、連携後は情報が自動で共有されるため、スタッフの役割は「入力」から「正しく取り込まれているかを確認する」ことへと移ります。入力作業に取られていた時間を、接客など人にしかできない業務に振り向けられるようになります。とくに人手が限られる映画館ほど、この変化の恩恵は大きくなります。

こちらの記事でも詳しく説明しています。

実際、運用はどれだけ変わるのか

こうした機能の活用によって、現場の作業時間は大きく変わります。ある海外の映画館チェーンのケースでは、プレイリストの作成、各スクリーンへのコンテンツ転送、予告編パックの作成と確認、KDMの取り込み、スケジュール作成といった一連のワークフローに、以前は5時間ほどかかっていました。

これらの作業の多くがTMSの機能で自動化された結果、時間が減っただけでなく、KDMの取り込み忘れによる上映トラブルのリスクも抑えられ、スタッフはより運営に集中できるようになりました。

そして、ここで紹介したパック機能とチケットシステムとの連携は、さらに上の段階の自動化に進むための土台にあたります。TMSにある様々な自動化機能をつなぎ合わせることで、次にご紹介する「Producer」による運用につながっていきます。

そして、自動化はさらにその先へ:複数館運営を支える次世代システム「Producer」

ここまで紹介してきたのは、日本の映画館でも「今すぐ使える」機能です。ただ、海外に目を向けると、自動化はさらに先へ進んでいます。日本ではまだ一般的でない運用も、海外の映画館では標準になりつつあり、それがこれから目指せる到達点を示しています。

その中心にあるのが、各館のTMSを一元管理できる「Producer」という上位システムです。

これを使うと、次のような運用が一括でおこなえるようになります。

  • 幕間(プレショー)や本編コンテンツをまとめて管理する
  • プレイリストを自動で作成し、各上映に割り当てる
  • 各館のスケジュールや、コンテンツの状態をまとめて確認・監視する

海外の複数館を運営する興行会社では、こうした一元的な自動運用が当たり前になりつつあります。各館で個別におこなっていた作業を一か所に集約し、館ごとの運用を標準化しやすくなります。日本ではこうした運用は、まだ一般的とはいえません。TMSはこの水準の自動化に対応しており、国内でも段階的に近づいていくことができます。今できることから始めて、いずれはこうした一括自動運用まで――このように、今使える機能から始めて、将来的に一括自動運用へと段階的に移行できる点も、TMSを活用するメリットの一つです。

なお、一元管理を担う場所は、必ずしも本社である必要はありません。管理を専門におこなう部署や監視センターを設けて任せることもできますし、拠点となる映画館が他館の分もあわせて管理するという形も考えられます。自社の体制に合わせて、どこに管理を集約するかを選べます。

さいごに:まずは今使える機能から活用してみる

パック機能もチケットシステムとの連携も、はじめから広く使われていたわけではありません。少しずつ現場に浸透し、今では映画館の運用を支える重要な機能の一つとなっています。裏を返せば、導入当時の使い方のままでは、こうした機能を活用しないまま運用を続けてしまうことがあります。

そして大切なのは、これらが単なる時短にとどまらず、作業の属人化を解消し、スタッフの役割を「入力」から「確認・接客」へと変えていく、運用そのものの変化をもたらす点です。

そして、その先には、海外の映画館で標準になりつつある一括自動運用という到達点があります。TMSは継続的に機能を広げており、今できることから一歩ずつ、その水準に近づいていけます。「まず使える機能を活かす」ことと「この先の自動化を見据える」ことは、地続きでつながっています。

  • 「このパック機能、うちでも使えるのだろうか」
  • 「チケットシステムとの連携は試したことがなかった」

――もしそう感じた機能があれば、それはお使いのTMSにまだ活かしきれていない力が眠っているサインかもしれません。当社では、AAM社のTMS「ScreenWriter」の国内での運用を、日本語でのサポートも含めてご支援しています。いま使える機能の活用方法など、お使いのTMSについて気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。

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世界ではすでにデジタルによる興行運営の一元管理が始まっています。本動画では、"映画館デジタル化"の本質と興行運営の一元化についてお話しします。

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