Aryaka SD-WANのミドルマイルについて 〜高速化と安定化のための仕組みを紹介〜
グローバルに高速で安定したネットワークを実現する上で、最大の課題となるミドルマイルを適切に運用することは、非常に重要です。
この記事では、Aryaka SD-WANのミドルマイル部分をどのように構成し、パフォーマンス向上に取り組んでいるかをご紹介します。
Aryakaのグローバルなネットワークについて
Aryakaのネットワークでは、世界中の主要ビジネス地域から1~5ミリ秒以内に、6大陸すべてへ戦略的に分散した30以上のPoP(Point of Presence)を展開しています。
それぞれのPoPはすべて、レイヤー2およびレイヤー3のハイブリッド構成によって、相互に高速接続されています。そして、主要なクラウドやSaaSアプリケーションへの最適なアクセスを実現するために、戦略的に配置されています。
これらのPoPは、仮想インフラ上に構築することも、トップクラスのデータセンターにあるベアメタル上に構築することも可能で、保証されたパフォーマンスを提供できます。
Aryakaでは、グローバルなコアインフラ「Aryaka FlexCore」のリソースを厳格に割り当てるために、最も信頼性の高いTier-4データセンター内に、ベアメタルリソースを所有しています。ベアメタルコンピューティングとストレージリソースの上に、緊密にオーケストレーションされたコンテナ化アーキテクチャーを実装することで、安全なセグメント化と確定的なリソース割り当てを保証しています。
Aryaka PoPのアーキテクチャー
Aryaka PoPのアーキテクチャーは、冗長化された高性能なスパイン・アグリゲーションリーフスイッチおよび、コアOSレベルでの厳格なリソース分離(コンテナ型アプリケーション配信の主な利点)により、顧客ごとのワークロードを実行します。
Aryakaのアーキテクチャーモデルでは、リソースの使用率が50%に近づくと、ボトルネックになる可能性を防ぐために、追加リソースが割り当てられます。これには、PoP間やPoP内の接続、必要となる計算資源およびメモリー資源が含まれます。このアプローチは、グローバルなレイヤー2接続リソースと、PoP内のベアメタルおよびコンテナ化されたコンピューティングインフラを、Aryakaが完全に所有・管理しているからこそ実現できるのです。
ネットワークの接続レイヤーによる違い
グローバルなネットワーク構築において、避けて通れないのが、ネットワークの接続レイヤーによる違いです。
ほとんどのネットワーク・エンジニアやアーキテクトは、レイヤー3(ネットワーク層)に時間と専門知識を集中させています。インターネットが動作しているのも、このレイヤー3です。
しかし、クラウドへの最適なアクセス手段についてネットワーク・エンジニアに尋ねれば、「インターネットではなくレイヤー2上で体験できる」と教えてくれるでしょう。
レイヤー3(ネットワーク層)で接続する場合
レイヤー3ネットワークでは、送信元から送信先への最適な経路計算にあたって、IPアドレスを使用します。そして、そこからルーティングプロトコルとルーティングテーブルを決定します。
そのため、データパケットを調べるために、ルーターでは一定のバッファー時間が必要となりますが、これは遅延(レイテンシー)の増加に影響します。
レイヤー2と比べると、パフォーマンス面では不利となりやすいものの、コストを抑えやすいという利点があります。
レイヤー2(データリンク層)で接続する場合
対してレイヤー2では、IPアドレスではなくMACアドレスを使用します。そして、ルーティングの代わりにパケットスイッチングをおこない、専用のポイント・ツー・ポイント接続でデータを送信します。
これによるメリットとして、低遅延と最小限のパケットロスによる、高い安定性を確保できます。加えて、ユーザー側でもTCPをチューニングしてパケット確認応答を制限することで、スループットを大幅に向上できます。
このように、パフォーマンス面ではとても有利であり、ビジネス利用にはとても適しています。しかしコスト面では、レイヤー3と比べて不利となりがちです。
レイヤー2を採用するAryakaネットワークの優位性
レイヤー3だけでは、パフォーマンス面での課題が残る
グローバルなMPLSや、他のレイヤー3インフラプロバイダーと提携すれば、コストと工数を大幅に削減できるでしょう。しかしそれだけでは、グローバルなインフラ上でSLAを保証する能力は大きく損なわれてしまいます。
そもそもMPLSの能力では、SLAを提供するのは地域ごとが限界であり、プロバイダー間を跨ぐようなグローバルレベルでのパフォーマンス保証はできません。遅延やジッター、パケットロスなどの影響を受けやすく、不安定性が常につきまとうこととなります。
実際、グローバルなMPLS/インターネットバックボーンだけの上に構築されたサービスの品質は、DIYで構築した SD-WANと比べても、ほとんど差がありません。
レイヤー2の採用で課題を解決するAryakaネットワーク
一方のAryakaネットワークでは、レイヤー2接続をベースとしたグローバルなコアインフラ「Aryaka FlexCore」を採用しており、用途や優先度合いに応じて、レイヤー2とレイヤー3のどちらを使用するかを拠点ごとに選択できます。
重要性の低い通信についてはレイヤー3を利用しつつ、安定性が求められるような重要性の高い通信をレイヤー2経由とすることで、パフォーマンスを高めながらもコストを抑えた運用を実現します。
また、遅延やジッター、パケットロスに関するグローバルレベルでのSLAを提供できるのも、多くのMPLSでは実現できなかったメリットです。
まとめ
アプリケーションのパフォーマンスを保証するための重要なポイントは、サービスプロバイダーがトラフィックを最適化するために、コアとなる部分をどのように編成し運用するかにあります。
機能面で言えば、インターネット(レイヤー3)やMPLS(レイヤー2.5)だけをコアとしてSD-WANを提供することは可能ですが、パフォーマンスの問題が常につきまとうこととなります。
SD-WANのコアとして、レイヤー2+3のハイブリッドなプライベートバックボーンを用いることで、グローバルで一貫したアプリケーションパフォーマンスを低コストで保証できるようになり、真の価値を発揮するのです。
SD-WANにおけるアンダーレイネットワークの重要性とAryakaバックボーン
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