キャンプ場にWi-Fiを導入すべき理由と10の確認ポイント〜メリットや注意点も〜

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ヒーロー画像(夜のキャンプ場にテントを張った様子)

誰もがスマートフォンを持ち歩く時代となり、あらゆる場所でフリーWi-Fi環境が提供されるようになりましたが、この流れはキャンプ場にとっても決して他人事ではありません。

この記事では、キャンプ場へのWi-Fiの導入や改善をご検討される方へ、必要となる理由とともに、メリットや対応方法の注意点などについて説明していきます。

キャンプ場のWi-Fi環境とは何か 〜おさらい〜

キャンプ場のWi-Fi環境とは、その名のとおり、キャンプ場などの屋外施設に設置・整備されたWi-Fi環境のことを指します。

一般的に認識されているのは、利用客に向けて用意されたWi-Fi環境で、「フリーWi-Fi」や「公衆無線LAN」などと呼ばれているものと同義だと捉えて差し支えありません。利用方法・接続先ネットワーク名(SSID)を管理棟や施設内などに掲示し、利用客の滞在中に自由に使ってもらうケースがほとんどです。

また、業務用のWi-Fi環境を分けて整備することも、ほとんどのケースにおいて推奨しています。業務効率を向上するために、従業員向けの端末や設備を安定して使えるようにすることはもちろん、セキュリティーの観点からも重要です。

キャンプ場にWi-Fiを導入・構築すべき理由はなぜか

昨今では、インターネット利用が日常生活の一部となっています。検索による情報収集やネット通販での買い物などが、自宅内か外出中かを問わず、いつでもどこでも日々おこなわれています。

そのような中キャンプ場では、施設の立地特性などから、Wi-Fi環境を導入または改善する必要性が年々高まっています。以下に、その主要なものをご紹介します。

1. 差別化ポイントとしてのWi-Fi

インターネットはもはや欠かせない存在ですが、キャンプ場での利用には大きな制約が付きものです。その多くが自然の豊かな場所にあるキャンプ場は、携帯ネットワーク(4G/5G)の電波が届かないか不安定であることが珍しくありません。このような状況は、利用客にとって利便性への不満を抱かせることとなり、顧客満足度の低下につながります。

そこで利用客向けのWi-Fi環境を整備することによって、携帯電波が届かないような場所であっても、Wi-Fiを通じてインターネットを利用できるようになります。これにより、顧客満足度の向上が見込め、他のキャンプ場施設との差別化にも活かせます。

2. 携帯ネットワーク(4G/5G)の補完と緊急事態への対応

上述したように、キャンプ場の施設内では、携帯電波が満足に届かないことも珍しくありません。これはインターネット上から孤立した状況を生み、通常時において利便性が低いだけでなく、防災の観点からも好ましくありません。

キャンプ場内にWi-Fi環境を整備することで、携帯ネットワークを補完し、インターネット上から孤立する状況を回避できます。これにより災害などの発生時においても、最新の情報をリアルタイムに入手したり、外部へ助けを求めたりすることができるようになります。

3. 設営サポートにかかる工数を削減

キャンプブームを受けて、多くの新規利用者・初心者にとってキャンプ場を利用する機会が増えていますが、経験の浅い利用者は、施設側へ設営のサポートを求めるケースもあります。

キャンプ場内でWi-Fi環境が利用できるようにすることで、設営などにおける不明点を動画共有サイトなどで自己解決できる可能性が高まり、このようなサポートにかかる工数の削減も見込めます。

キャンプ場へのWi-Fi導入・構築前に確認すべき10のポイント

キャンプ場へのWi-Fi環境の整備で注意すべきポイントは、都会もしくは建物内への整備時とは大きく異なります。

これからWi-Fi環境を整備する場合はもちろん、既存のWi-Fi環境を改善する場合においても、以下に挙げる10のポイントについて確認してみましょう。

1. Wi-Fi環境の利用目的は何ですか?

キャンプ場でのWi-Fi環境の利用目的を、まず明確にすることが重要です。

Wi-Fi環境の導入は、利用客にとってのオンラインアクセスやコミュニケーションをサポートするためなのか、業務効率の向上を図るためなのか、あるいはその両方を達成するためなのかを確認しましょう。

そして、その際にWi-Fi環境を通じたアクセスが想定されるサービス・アプリケーションについても確認します。利用客への提供をメインとして捉えるのであれば、TwitterやLINEなどのSNS・コミュニケーションツールであったり、YouTubeやPrime Videoなどの動画サービスへアクセスされるかもしれません。

このように「誰が使うか」「どのようなサービスを使うか」を確認しておくことで、ネットワークの品質や容量などの適切な設計に役立ちます。

2. インターネット回線は、敷地内のどこから引き込まれていますか?

利用客やスタッフに対してどのようにWi-Fi環境を提供するか、考える必要があります。

NTTなどのインターネット回線における終端装置(ONU)やモデムの位置は、次の項目でも説明するように、これから必要なものを判断するのに欠かせません。

あるいはそもそも、山間部などのようにインターネット固定回線へ対応できない地域では、どうしたら良いでしょうか。その解決策として、通信衛星を使った「スターリンク(Starlink)」が活用できる段階となっており、今後の普及拡大が期待されています。

3. 終端装置は、Wi-Fi環境を提供したいエリアからどれくらい離れていますか?

Wi-Fi環境を提供したいエリアが、前述した終端装置からどれくらい離れているかを確認しましょう。

離れている距離に応じて、メディアコンバーターやネットワークケーブル、PoEスイッチ、無線アクセスポイント(AP)などといった機器類の追加要否を判断します。よくあるケースとして、終端装置が管理棟内に設置されているような場合には、そこからテントエリアや他の機器までネットワークケーブルを敷設する必要があるかもしれません。

あるいは、ケーブル敷設が困難な環境では、FWA(Fixed Wireless Access:固定無線アクセス)の導入によって解決することもあります。これは一般的なWi-Fiとは異なる技術で、Wi-Fiとは電波干渉することなく1対1(または1対N)間の通信を無線接続でき、500Mbps〜10Gbps程度と有線接続に遜色ない高速性能を有します。

FWAによって通信可能な距離も、機種や設置環境などによって1〜40kmほどに対応できるため、冬場には営業できないようなキャンプ場でもコストパフォーマンスを発揮できる可能性があります。

4. 回線の帯域幅はどのくらいですか?

帯域幅の大きさによって、利用客やスタッフに提供できる通信速度・快適さが決まります。

帯域幅が大きいほど、より多くのユーザーが接続でき、より質の高いWi-Fi環境を提供できます。回線業者の提供範囲や利用目的にもよりますが、昨今では速度の要求されるサービスが多くなってきているため、なるべく大きな帯域幅を検討すると良いでしょう。

5. 平均的なユーザー数はどのくらいですか?

キャンプ場における平均的なWi-Fiユーザー数を確認することは、ネットワークおよびキャパシティーの設計にあたって重要です。

多くのユーザーが同時にWi-Fi接続するようなケースでは、ネットワーク回線や機器の能力を適切に拡張する必要があるかもしれません。経験則として、利用客は1人あたり2〜3台程度のモバイル端末(Wi-Fi対応機器)を持ち込んで使用します。これらをカバーできるように、Wi-Fiアクセスポイントなどの数も検討していきます。

6. 利用客に提供したいWi-Fiの品質やタイプ、アクセスレベルは?

利用客やスタッフに提供したい、Wi-Fi環境の品質やタイプなどを確認します。

品質を上げてキャンプ場内でくまなく使えるようにするには、施設規模によっては潤沢な予算が必要です。予算が限られる場合や、段階的に導入していきたい場合には、施設内のどのような場所で使えるようにするかを検討します。

例えば、管理棟などの特定場所でだけ使えるホットスポット、炊事場やトイレなどの共用部、キャンプサイト、個々のコテージ、これらを含むキャンプ場全体などといったレベル分けが考えられます。

ここで確認した内容をもとに、Wi-Fiアクセスポイントの最適な配置についても決定していきます。

7. 建物の構造はどうなっていますか?

Wi-Fiの無線電波は、さまざまな素材を通過するごとに劣化します。

コンクリートや木材、金属サイディング、ファイバーグラス、鉄筋など、使われている素材によって、Wi-Fi電波の劣化の度合いが異なります。

キャンプ場施設内にある建造物や障害物の配置や構造を理解することは、Wi-Fiアクセスポイントの数と適切な配置を決定するために、とても重要です。

8. Wi-Fi設置場所まで、ネットワーク・電源ケーブルが敷設されていますか?

適切にシールドされたLANケーブルや電源ケーブルなどがすでに敷設されていれば、Wi-Fiの導入にこれらを活かせる可能性があります。

ケーブル敷設がない場合には、新たにケーブルを敷設するのが一般的ですが、距離や地形などによっては前述のFWAも有効な選択肢となり得ます。

9. Wi-Fiサービスを提供する予定のキャンプサイト、コテージ、共用施設はいくつありますか?

Wi-Fi環境を提供したいキャンプサイト、コテージ、共用施設がいくつあるか、それぞれどの程度の人数が使用するかを試算してみましょう。

この数によって、それぞれをカバーするために必要なWi-Fiアクセスポイントやネットワーク機器の、数や配置を決めていきます。

10. 監視システムを導入または拡張する予定はありますか?

IP監視システムは、キャンプ場やテントサイトにおいても一般的になりつつあります。

重要なエリアにおいては24時間365日のカメラ映像による監視をおこなうことで、利用客およびスタッフの快適さと安全性の確保に役立つほか、破壊行為や盗難などが発生した場合に、それらの証拠となる情報をログ保存できます。

しかし、IP監視システムを導入する際には、ネットワーク環境の品質や帯域幅を考慮する必要があります。高解像度のIPカメラは、顔の特徴やナンバープレートを識別できるレベルに、細部まで鮮明に映し出しますが、その分大きな帯域が要求されます。

IP監視システムなどのセキュリティーシステムは、通常用とは別のネットワークセグメントに配置し、各セグメント間で使用される帯域や速度を分割するのが理想的です。

まとめ

インターネット利用が生活の一部と化している昨今、緊急事態への対応の観点からも、キャンプ場内におけるWi-Fi環境整備の必要性が高まっています。

ご不明点や気になる点などありましたら、どんなに些細なことでも問題ありませんので、お問合せフォームよりご相談いただけましたら幸いです。

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