飛行機内Wi-Fiの仕組みとは?〜注意すべき点も〜

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近年では多くの飛行機で利用できるようになった機内Wi-Fiですが、地上10,000mもの上空でなぜインターネットが使えるのか、不思議に思ったことはありませんか?

この記事では、飛行機の機内Wi-Fiがどのような仕組みでインターネット接続を提供しているか、ご紹介します。

そもそも、飛行機内Wi-Fiとは?

旧来は不可能とされていた、飛行機内からのインターネット接続を可能とするサービスです。

ビジネスユーザーの往来だけでなく、スマートフォンやモバイル端末の浸透によるニーズの高まりを受けて、提供する航空会社が増えてきています。

日本国内の航空会社では、ANA(全日本空輸)およびJAL(日本航空)がそれぞれ同等の内容でサービス提供していて、国内線においては無料、国際線においては有料(接続時間に応じた複数段階の料金、ただしファーストクラスのみ無料)となっています。

飛行機内Wi-Fiの仕組みは?

飛行機の機内Wi-Fiを実現する仕組みは、大きく2種類あり、飛行機外部との通信方法だけが異なります。

なお、飛行機内における仕組みは同じで、いずれも機体内部に複数のWi-Fi AP(アクセスポイント)が設置され、乗客のモバイル端末へWi-Fiの電波を届けます。

1. 衛星系

飛行機の上部にアンテナが設けられ、高軌道の静止衛星を通じて地上と通信することで、インターネットへ接続されます

海上を移動する国際線において多用され、日本の国内線で採用されているのもこの方式です。日本の国内線では、海上を飛行するケースが多く、後述する地上系よりも安定化しやすいためです。

飛行機内Wi-Fiにおける外部通信の仕組み(静止衛星と通信するパターン)
飛行機内Wi-Fiにおける外部通信の仕組み(静止衛星と通信するパターン)

この方式には、高軌道の静止衛星と通信することから、後述する地上系と比べると「遅延(レイテンシー)が大きくなりやすい」という欠点があります。

ただし、ここ数年では低軌道衛星によるインターネットアクセス「スターリンク(Starlink)」の活用が各所で広まっており、飛行機内Wi-Fiへの採用についても2024年頃から航空各社よりアナウンスされ始めています。スターリンクの採用が広まることで、この欠点については大きく改善される見込みです。

2. 地上系 (ATG:Air To Ground)

飛行機の下部にアンテナが設けられ、地上に多数設置された基地局と通信することで、インターネットへ接続されます。

アメリカの国内線では、主にこの方式が採用されています。アメリカの国内線では、大陸上空を飛行するケースが多いので、こちらの方式が向いているのです。

飛行機内Wi-Fiにおける外部通信の仕組み(地上基地局と通信するパターン)
飛行機内Wi-Fiにおける外部通信の仕組み(地上基地局と通信するパターン)

この方式には、前述の衛星系と比べると遅延が小さいというメリットがある一方で、海上移動する便への採用が難しいという欠点があります。そして先にも述べたように、スターリンクの採用が飛行機内Wi-Fiにも広まると、遅延面での優位性も崩れる可能性があります。

飛行機内でWi-Fiを利用するには?

まず、搭乗する便の飛行機材がWi-Fiサービスに対応しているか、航空会社の公式サイトなどで確認しておく必要があります。その際に、接続方法・必要なものについても確認しておきましょう。

大抵の場合は、指定されたSSID(接続先名)へ接続して認証画面の指示に従うことで、インターネットへ接続できるようになります。

飛行機内Wi-Fiの利用にあたって注意すべきことは?

飛行機の機内Wi-Fiを利用する際には、注意すべきことがあります。代表的なものを、以下に2点ご説明します。

1. Wi-Fiサービスを提供していない機体がある

機内Wi-Fiサービスを提供する航空会社であっても、すべての飛行機材が機内Wi-Fiサービスに対応しているわけではありません。そのため、Wi-Fiサービスを利用したい場合には、搭乗予定の便がWi-Fiサービスに対応しているかを事前に確認しましょう。

加えて、運行状況に応じて機材変更が生じる際には、Wi-Fiサービスに対応しない機材へ変更されることがある点にも注意が必要です。

2. 飛行機内Wi-Fiは速度が遅い&不安定

通常とは異なる仕組みでインターネット接続を実現している都合上、飛行機内のWi-Fiは遅くて不安定です。通信が中断することも珍しくなく、動画などのリッチコンテンツを楽しむ用途には向いていません。動画などを楽しみたい場合には、オフライン再生用のダウンロード機能を使うなど、Wi-Fiを利用しない工夫も必要です。

なお、これは飛行機外との通信における技術制約によるものなので、座席のクラスに関わらず同じです。

ただし、仕組みの部分でも述べたように、スターリンクの飛行機Wi-Fiへの採用が広がることで、速度と安定性の面については大きく改善されると期待されています。

さいごに

飛行機の機内Wi-Fiは、我々が普段利用しているインターネット環境と比べれば、とても使いづらいものかもしれません。しかし、メール連絡やニュース閲覧などのような軽い通信であれば十分に使え、移動中の利便性は大きく向上しています。

ご不明点や気になる点などありましたら、どんなに些細なことでも問題ありませんので、お問合せフォームよりご相談いただけましたら幸いです。

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