テレビCMオンライン運用の最新状況と課題対応 Vol.2
この記事は前回(第1弾)に引き続き、一般社団法人 日本広告業協会様(以下、JAAA)によるご協力のもと、テレビCMオンライン運用における最新状況と課題への対応について、全3回にわたってご説明する第2弾です。
オンライン送稿の受入局数は最近でも増えており、2023年5月8日にバイアコムネットワークス(MTV)、7月24日にはCSジャパン(日テレジータス・日テレプラス)とヒューマックスコミュニケーションズの4局が、新たに加わりました。
2023年7月31日時点で、民放連加盟136局+BS/CS47局=総計183局においてオンライン運用が開始済みとなっています。
では実際にオンライン運用を始めるには、どう進めればよいのでしょうか?
今回はオンライン運用の"導入編"として、テレビCMオンライン運用の具体的なメリットを見ていくとともに、導入手順についてもご説明していきます。
運用開始から5年以上経過して見えてきた、オンライン化のメリットとは
オンラインでの運用開始から5年以上が経過し、各エリアの広告主様や広告会社様からも、いろいろな声が挙がっています。
オンライン化のメリットとしては・・・
- 日本全国どのエリアの放送局にも、短時間(数分~混雑時でも数時間)で送稿できる
- 天候や道路渋滞などによる遅延がない
- モノの保管が無いので、スペースがいらない
- 万が一素材に不備や不都合が発生しても、短時間で差し替えが可能
- システム上で映像確認できるので、取り違いを防げる
などが挙げられますが、実際に広告主様や広告会社様からいただいたお声を、具体的に見ていきましょう。
これまで営業車でテレビ局を回っていた時間を、他チームの支援に充てられるようになった。
(広告会社)
荒天時にテレビCM素材を運ぶ作業がなくなり、とてもメリットを感じる。
(広告会社)
制作会社や素材搬入事業者と様々な検討をおこなってきたが、オンライン運用の一般化に伴い、1素材1本を作って送る総制作費(素材制作やデータ変換、運搬、送稿に関する人件費等全部込み)は、XDCAMと比較しても料金が均衡してきており、コスト面でもメリットが出てきた。
(広告主・広告会社)
テレビCM素材がモノで無くなった事で、保存スペースや物理的な保管管理がなくなり、空間も管理作業も大幅に軽減された。
(広告主・広告会社)
一度放送局にオンライン送稿すれば、その後は在局確認や返却要請作業などがないので、素材管理作業が大幅に減りメリットを感じる。
(広告会社)
素材の受け取りからオンライン送稿、素材管理までの一連の作業が、簡易化された。
(広告会社)
・・・など、作業時間の短縮により業務プロセスが効率化され、コストの削減と作業負担の軽減を実感されている方が多いようです。また今後普及率が上がることで、さらにコスト面でのメリットが大きくなることも予想されます。
テレビCM素材の放送局への送稿を、広告主から依頼されたらどうすべきか
では、広告主から「素材を放送局へ送って!」と言われたら、どう対応すればよいのでしょうか?
現在、テレビ局にCM素材を搬入する方法は2つ存在しており、基準で定められている下記いずれかの方法で搬入をおこなう必要があります。
- モノでの送稿: テレビCM素材ファイルを、XDCAMメディアに記録して運ぶ
- オンラインでの送稿: テレビCM素材ファイルを、システムで送る
モノで送るという選択もまだ残っていますが、昨今ではオンライン搬入を指定されるケースも増えています。
オンラインで送る場合にはどのような手順で進めればよいか、ここから細かく見ていきましょう!
手順1. CCCコードを取得する
テレビCM素材のオンライン運用をおこなうためには、各広告会社・制作会社ともに、広告事業者コード(CCCコード)が必要です。
未取得の場合は、共通コード管理センターに発番申請をしましょう。(無料)
入力フォームより申請書を作成して郵送しますと、申込書の到着から3営業日ほどでコードが発行されます。
手順2. 送稿に利用するシステムへ登録する
テレビCM素材のオンライン送稿は、ご自身の業務用パソコンから、2つのシステム(Webサービス)を使っておこないます。普段使っているパソコンでの対応が可能で、特殊なシステムを必要としないので、リモートワークや出張時にも簡単に操作できます。
利用するシステムは、下記の2つです。
a. 素材搬入業者のシステム
- 制作担当が完成したCM素材を、サーバーにアップロード(保管)する
- 媒体担当に、CM素材送稿の権限を渡す
b. 広告EDIセンターのシステム(CMDeCo)
- 媒体担当がCM素材をどこの放送局に送稿するか指示する
いずれのシステムも、利用するには運用事業者との契約(利用申込)が必要です。
- 素材搬入事業者を選択し、申込をしてID・PWを取得する
- 広告EDIセンターと契約して、ID・PWを取得する
まずは、2つのシステムを利用できるように手続きする必要があります。具体的な手続き方法については、後述します。
テレビCMオンライン運用の仕組み ~広告会社は2つのシステムを利用
前述した2つのシステムですが、仕組みとしては図式のようになっています。
それぞれの役割は、
- a. 素材搬入業者のシステム: 制作したCMを保管し、送稿する権限を指定する
- b. 広告EDIセンターのシステム(CMDeCo): 指定されたCM素材を放送局に送る
となっており、2つのシステムを利用することでCM素材をテレビ局に搬入することができます。
素材搬入事業者のシステムへの申し込みについて
それでは、素材搬入業者のシステムへの申し込みについて見ていきましょう。
まずCMオンラインのワークフローとして、オンライン送稿費用は制作扱い広告会社と素材搬入事業者間で精算するのが一般的です。自社が制作扱い広告会社の場合、素材搬入事業者への申し込み・契約が必要です。
この素材搬入事業者は、現在9社ありますが、この中から利用する事業者を選択し、申し込み手続きをおこないます。価格や強みなど、それぞれ特徴がありますので、まずは問い合わせてみましょう。
なお、素材搬入事業者システムに登録の際にも、広告事業者コード(CCCコード)が必要になります。
でもどこに相談すればいいか分からない・・・という方には、JAAAが提供する「素材搬入事業者への一括相談フォーム」もあります。一括相談フォームを活用することで、事業者各社に料金・条件などを問い合わせできます。
ちなみに当社ブロードメディアも素材搬入事業者であり、無料でご利用申込(ID・PW取得)が可能です。(※オンライン送稿時には料金が発生します。)
分かりやすくシンプルな使い勝手のシステムで、価格面でもご好評いただいております。
オンライン送稿でご不明なことがありましたら、ぜひお気軽にご相談ください!
広告EDIセンターのシステム「CMDeCo」とは
続いて、広告EDIセンターが提供しているシステム「CMDeCo」への申し込みについてです。
広告EDIセンターとは、広告業界のEDIおよびオンライン送稿の基盤整備・運営によって広告業界におけるデジタル化の普及・促進を図る、広告会社10社が出資している企業です。
CMDeCoを利用することで、指定されたCM素材を放送局に送ることができます。
CMDeCoサービスには年会費が掛かりますが、CMDeCoの利用料金は媒体扱い広告会社が負担するのが、一般的なCMオンライン運用におけるワークフローです。
自社が媒体扱い広告会社の場合には、広告EDIセンターに問い合わせの上、登録が必要です。
各システムへの申込・登録まで済ませれば、オンライン送稿の準備が完了
CCCコードの取得、各システムへの申し込み・登録を済ませたら、準備は完了です。
いずれも使用可能までに日数を要するため、事前に確認・申請を済ませておきましょう。
まとめ:オンラインでCM素材を送稿するには2つのシステムを利用
ここまでのおさらいです。
CM素材を送るには、素材搬入事業者とCMDeCoの2つのシステムを使用します。
自社の担当領域によって登録(契約)先が異なりますので、確認が必要です。
システム利用料金などの負担は、以下のようにおこなうのが一般的です。
- CMDeCoの費用: 媒体扱い広告会社
- オンライン送稿の費用: 制作扱い広告会社
実際の作業フローは下記となりますが、こちらの詳細は、第3弾(次回)の"実務編"で詳しくご説明します。
以上、オンライン運用の"導入篇"として、始めるまでに必要なことをご説明してきました。
当社としましてもテレビCMにおける素材搬入事業者の1社として、全国オンライン化に向けて、オンライン搬入のメリット周知や普及活動を今後も進めて参ります。
XDCAMメディア納品からオンライン送稿ご検討の際にも、当社までお見積もり依頼いただけますと幸いです。
(前述の素材搬入事業者一括相談フォームからお問い合わせいただいても大丈夫です)
その他ご不明な点や詳細をお知りになりたい方は、お気軽に当社までお問い合わせください。
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動画によるご紹介
テレビCMオンライン送稿について、動画でご説明しています。
製品ページ
ブロードメディアでは、CMオンライン送稿サービスを提供しています。
素材搬入事業者としてテレビCMへの字幕制作(付与作業)に対応しており、協力会社を通じて字幕付きOA原版作成が可能です。
初号をお渡しいただければ、字幕制作(付与作業)からオンライン搬入(局納品)まで、ワンストップで対応いたします。
何かお困りの際には、ぜひお気軽にご相談ください。